ニュース速報

ビジネス

タカタが民事再生法申請、負債総額1.7兆円 会長は引責辞任へ

2017年06月27日(火)00時50分

 6月26日、エアバッグの大量リコール(回収・無償修理)問題で業績が悪化しているタカタが、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請し、受理された。タカタ本体の負債総額は約1826億円。都内で4月9日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - エアバッグの大量リコール(回収・無償修理)問題で業績が悪化していたタカタは26日、本社と国内連結子会社2社について民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請、受理された。米国子会社TKホールディングスを含む海外子会社12社も米東部時間の25日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条の適用を申請した。欧州、アジアなどでは当事者間の協議による私的整理で再建する。

<製造業で戦後最大の破綻>

タカタが同日公表した負債総額は15社合計で約3800億円(1ドル=111円で換算)だが、最終的な額はリコール費用を負担している自動車メーカー各社との補償合意ができていないとし、再生手続きを進める中で確定する見通し。東京商工リサーチによると、各自動車メーカーが立て替えているリコール費用を含む負債総額は約1兆7000億円になる見込みで、日本での製造業の経営破綻としては戦後最大となる。

タカタの再建は中国の寧波均勝電子傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズ(KSS)が支援する。タカタは問題となったエアバッグ部品のインフレーターなど一部の事業を除き、実質的にすべての事業と資産を1750億円で譲渡することでKSSと基本合意した。2018年3月までに譲渡を完了する予定。

KSSは全世界のタカタ従業員を現在と同等の条件で雇用し、国内製造拠点も維持する方針で、海外での工場や研究開発センターへの投資も計画。両社の事業統合により、世界23カ国に展開する従業員約6万人の自動車安全部品メーカーが誕生する。

タカタは再生手続き開始後の運転資金を確保するため、日系自動車メーカー各社には資金繰りを支援してもらうほか、三井住友銀行からは250億円を上限とする融資(DIPファイナンス)を受ける。

同日午前、東京都内で会見した高田重久会長兼社長は陳謝。事業譲渡までの「適切な時期に経営責任をとって辞任する」と表明した。株式を約6割保有する創業家が今後、株主として残ることも「実質的に不可能」として経営に関与しない意向を示した。

タカタ株は7月27日に上場廃止となり、3本の発行済み社債(300億円が残存)も債務不履行(デフォルト)となる見通し。今後の再生計画の中で弁済率が決まる。

<当事者間の合意困難、米司法取引の支払期限も迫る>

タカタ経営陣は当初、部品の安定供給が維持できるとして関係者間の合意による私的整理を目指していた。高田会長は、同日の会見で、民事再生法という法的整理に至った理由について、「世界各国10社以上の自動車メーカーやスポンサーと合意に達するのは極めて困難だった」とし、「多額の罰金等の負担や一部の報道等による取引状況の悪化、貴重な人材の流出懸念が重なり、取引金融機関の視線も大変厳しいものとなってきた」と語った。

同社の外部専門家委員会の委員長として再建策を取りまとめた須藤英章弁護士は「米国で多くの訴訟が発生しており、私的整理では対応できなくなった」と説明。また、リコール費用が回収困難となる自動車メーカーからは「銀行借り入れや社債についても公平な取り扱いをしてもらわないと株主に説明がつかない」との指摘を受け、利害関係者すべての同意を得る私的整理は「極めて難しい」と判断したという。

再建策のとりまとめを「昨年12月までにするという時間軸」(高田会長)で当初は動いていたが、協議は長引いた。タカタが今年1月に米司法省と合意した総額10億ドルの司法取引のうち、問題のインフレ―ターを購入して損失を被った自動車メーカーへの賠償金などの8億5000万ドル(約940億円)の支払期限が18年2月となっており、法的な手続きに要する時間を逆算すると「もうこれ以上、先延ばしできないという状況になった」(須藤弁護士)ことも急ぐ事情となった。

<車メーカー各社、リコール費用の大半取り立て不能>

タカタの民事再生法申請を受け、日系自動車メーカー6社は26日、立て替えているリコール費用が「回収不能になる見込み」との見解を発表した。ホンダ、日産自動車、三菱自動車が「大部分が取り立て不能」との見通しを示した。ホンダはリコール費用としてこれまでに約5560億円を計上、トヨタ自動車は、5700億円計上しており、「取り立て不能または遅延のおそれが生じた」とした。

ホンダとマツダは、リコール費用に関する責任割合について「現時点で一部を除き、タカタと合意していない」と説明、今後の法的手続きの中で求償すべき費用を「引き続き主張していく」とした上で、大部分が回収困難との見通しも示した。SUBARU(スバル)は今期以降に実施予定のリコール(未届出分)は追加計上が必要な費用があるとしたが、スバルを除く5社は前期までに乾燥剤なしのリコール費用をすでに引き当て済みで、業績への影響は「限定的」という。

タカタ製エアバッグについては、ホンダが08年11月に米国で初めてリコールし、09年には異常破裂による最初の死亡事故が発生。関連事故による死者は米国で11人、マレーシアなどを含む海外全体で17人、負傷者は世界で180人超に上っている。事態を重く見た日米当局は湿気を防ぐ乾燥剤のないタカタ製エアバッグの搭載車両すべてのリコールを決めた。

タカタはシェア約2割を占める世界2位のエアバッグメーカーで、ホンダ、トヨタ自動車、独フォルクス・ワーゲン、独BMW、米ゼネラル・モーターズ、米フォード・モーターなど世界の自動車メーカー19社に問題のエアバッグが供給されていた。

*内容を追加します。

(白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ビジネス

米ギリアド、第3四半期売上高が予想上回る 通年見通

ワールド

情報BOX:新型コロナウイルス、世界の感染者441

ワールド

米フィラデルフィア市が夜間外出禁止令、黒人射殺後の

ビジネス

トヨタ、リコール584万台に拡大 燃料ポンプ不具合

MAGAZINE

特集:ドイツ妄信の罠

2020-11・ 3号(10/27発売)

良くも悪くも日本人が特別視する国家・ドイツ──歴史問題や政治、経済で本当に学ぶべき点は

人気ランキング

  • 1

    「ドイツは謝罪したから和解できた」という日本人の勘違い

  • 2

    新しい原子力エンジンで火星への到達時間が半減?

  • 3

    黒人プラスサイズのヌードを「ポルノ」としてインスタグラムが削除

  • 4

    キリスト教福音派で始まった造反がトランプの命取りに

  • 5

    米沿岸警備隊、西太平洋に巡視船配備へ 中国船の違…

  • 6

    新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する?

  • 7

    毎年ネットで「三峡ダム決壊!」がバズる理由

  • 8

    日本で研究不正がはびこり、ノーベル賞級研究が不可…

  • 9

    白人っぽ過ぎ?「カレン」が人気急落

  • 10

    新型コロナウイルスは糖尿病を引き起こす? 各国で…

  • 1

    世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由

  • 2

    決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性

  • 3

    「ドイツは謝罪したから和解できた」という日本人の勘違い

  • 4

    女性との握手拒否で帰化認定が無効になった ドイツ

  • 5

    中国・青島市で冷凍食品から新型コロナウイルスが検…

  • 6

    黒人プラスサイズのヌードを「ポルノ」としてインス…

  • 7

    毎年ネットで「三峡ダム決壊!」がバズる理由

  • 8

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止した…

  • 9

    ボイジャー2号が太陽系外の星間物質の電子密度の上昇…

  • 10

    インドネシア大統領ジョコ、米国の哨戒機給油要請を…

  • 1

    世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由

  • 2

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止したのは......

  • 3

    韓国ネット民、旭日旗めぐりなぜかフィリピンと対立し大炎上に

  • 4

    日本学術会議は最後に大きな仕事をした

  • 5

    金正恩「女子大生クラブ」主要メンバー6人を公開処刑

  • 6

    習近平、中国海兵隊に号令「戦争に備えよ」

  • 7

    その数333基、世界一のダム輸出国・中国の「無責任」

  • 8

    注意喚起、 猛毒を持つふさふさの毛虫が米バージニア…

  • 9

    決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性

  • 10

    中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!