ニュース速報

コーエン被告、宗教指導者の醜聞もみ消し加担か 16年大統領選

2019年05月08日(水)15時29分

[ワシントン 7日 ロイター] - 2016年の米大統領選でトランプ候補の支持を表明し周囲を驚かせたキリスト教福音派の著名指導者、ジェリー・ファルエル・ジュニア氏が、トランプ支持を打ち出す前にトランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告に対してきわどい写真の処理という「個人的な問題」の解決を依頼し、コーエン氏が醜聞のもみ消しに加担ていた疑いが浮上した。ロイターがコーエン被告の会話の録音を入手した。

ファルエル氏は、米バージニア州にあるキリスト教系リバティ大学の学長で、トランプ大統領の支持基盤であるキリスト教福音派の著名な指導者。

録音データによると、ファルエル氏は、本来は夫婦間に秘めておくべき「きわどく個人的な写真」を何者かが所有していると相談していた。

コーエン被告に近い筋によると、ファルエル氏はトランプ氏が大統領選への立候補を表明した2015年にコーエン被告に協力を要請。コーエン被告は当時、トランプ氏の個人弁護士であり、トランプ・オーガナイゼーションと契約関係にあった。

ファルエル氏の弁護士は、この記事についてのコメントを拒否した。コーエン被告は、偽証罪で禁錮3年の実刑を言い渡され服役中。

ファルエル氏の個人的問題へのコーエン氏の関与は、コメディアンのトム・アーノルド氏がひそかに録音したコーエン被告との会話記録で明らかになった。コーエン被告はアーノルド氏に対し、「(ファルエル氏は)大量の個人的写真が公表されるのを避けたかった。そのうちの1枚を持っているが、ひどい内容だ」と話したという。

ロイターの取材では、写真の件とファルエル氏のトランプ氏支持が関連していると裏付ける証拠は見つかっていない。コーエン被告に近い筋は、2つはそれぞれ別の案件だとしている。

コーエン被告とファルエル氏の関係は、米国で最も影響力のあるキリスト教福音派の指導者の1人であるファルエル氏とトランプ氏の良好な関係にもつながった。ファルエル氏が支持を表明したことで、トランプ氏の過去の言動に懸念を抱いていたキリスト教徒がトランプ氏への見方を変えた。

ファルエル氏がトランプ氏支持を表明すると、リバティ大の学生や教員は驚愕(きょうがく)した。トランプ氏は3回結婚し、性的経験を自慢、中絶などを支持するなど、ファルエル氏の主張と真っ向から対立していたため。

ファルエル氏は取材には対応しなかったが、トランプ氏支持の理由について、最も強力な候補者で豊富なビジネス経験を持ち、米国の将来について正しいビジョンを持っているからだとたびたび強調していた。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言

ワールド

ジュリアーニ氏らアリゾナ州大陪審が起訴、20年大統

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中