ニュース速報

英首相、EU離脱期日の3カ月延期要請 仏・欧州委は反対

2019年03月21日(木)03時24分

[ロンドン/ブリュッセル 20日 ロイター] - 英国のメイ首相は20日、欧州連合(EU)離脱期日を6月30日まで3カ月延期するようEU側に要請した。英議会で2回否決された離脱協定案の承認に向け時間を稼ぎたい考えだが、フランスやEUの執行機関である欧州委員会は要請に反対する考えを示した。

メイ首相は議会で「首相として、EU離脱を6月30日以降に先送りする用意はできていない」とし、「このため、EU基本条約(リスボン条約)50条に基づく交渉期限を6月30日まで延長するよう、トゥスクEU大統領宛に今朝、書簡を送付した」と述べた。

その上で「政府は(離脱協定案の)意義ある3回目の議会採決を行いたいと考えている。可決されれば、交渉期限の延長で下院は離脱協定案を討議する時間が得られる。否決されれば、下院は今後どのように進めるのか決める必要がある」と述べた。

EU当局者は、トゥスク大統領が離脱期日の延長を正式に要請するメイ首相の書簡を受け取ったことを明らかにした。

一部のEU加盟国はメイ首相による離脱期限の延期要請を歓迎。ドイツ高官は、5月下旬の欧州議会選まで離脱を延期させることは法的に問題にならないとの見解を示した。

これに対し、欧州委員会のユンケル委員長は、離脱が5月24─26日に実施される欧州議会選挙以降に延期されることについて警告し、離脱が5月23日以降になる場合、英国も欧州議会選に参加する必要があるとの考えを示した。

またフランスのルドリアン外相は、離脱協定案が英議会で承認されるという確約をメイ首相が提示できなければ、延期要請は認められないと指摘した。

ロイターが入手したEU文書は、離脱期日の延期は欧州議会選挙より前の短期間か、少なくとも今年末までの長期間のどちらかと指摘。「英国に提示する延長は、2019年5月23日までか、英国が欧州議会選挙に参加する必要がある、より長期間となる。これがEUの機能と意思決定能力を保持する唯一の方法だ」としている。

一方、トゥスク大統領は、来週の英議会で協定案が承認されるという条件で、短期間の離脱延期については認める考えを示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米カリフォルニア大関係者がトランプ政権提訴、資金凍

ビジネス

アングル:外国投資家が中国株へ本格再参入うかがう、

ビジネス

ティッセンクルップ鉄鋼部門、印ナビーン・ジンダルか

ビジネス

米テスラ、19年の死亡事故で和解 運転支援作動中に
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中