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中国、19年成長率目標引き下げ 大型減税や融資拡大で景気支援へ
[北京 5日 ロイター] - 中国の李克強首相は5日開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で政府活動報告を行い、税金と手数料の大幅削減やインフラ投資の拡大、中小企業に対する一層積極的な融資を通じ、一段の減速が見込まれる中国経済を支援する方針を示した。
首相は全人代の冒頭で、2019年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を6.0―6.5%に設定したと明らかにした。昨年実績の6.6%を下回る成長率となる。
複数の関係者はこれまでロイターに、中国経済への逆風が強まるなか、今年の成長率目標は昨年の6.5%前後から6.0─6.5%に修正される公算が大きいと明らかにしていた。
中国経済を巡る不透明感が高まるなか、目標を一つの数値ではなく範囲で示すことで、当局者は政策対応の余地を広げられる。
ANZリサーチの大中華圏担当チーフエコノミスト、レイモンド・ヤン氏は「目標を引き下げたことは、米国との貿易摩擦や中小企業が絡むセクターに起因する下方リスクを政府が認識していることを示している」と指摘した。
昨年のGDP成長率は1990年以来28年ぶりの低水準に落ち込んだ。米国との貿易摩擦や、企業の借り入れコスト上昇を招いた金融リスクの抑制策などが景気を圧迫した。大気汚染対策や低付加価値の産業を縮小する政策も製造業の活動鈍化につながった。
李首相は、中国経済が直面する困難に警告を発するとともに、一連の刺激策で景気を下支えすると約束。「中国の発展が今年直面する環境は一段と複雑化し、より厳しくなっている。予測可能なものであれ、予測不可能なものであれ、リスクと困難は増すだろう。われわれは厳しい戦いに万全の備えをしなければならない」と述べた。
また、景気押し上げに向け、中国の財政政策は「一段と積極的」になると表明。2019年に企業の税金や手数料を約2兆元(2983億1000万ドル)削減する方針を示した。
減税幅は18年の1兆3000億元を上回る規模となる。
また、製造業、運輸、建設部門を支援するため、増値税(付加価値税)の税率を引き下げる計画も示した。製造業の税率は16%から13%、運輸・建設業は10%から9%に引き下げるとした。
同時に、米市場への進出度合いが高い輸出企業の雇用状況を注意深く見守ると表明した。
中国政府は今年、都市部で1100万人以上の新規雇用創出を目指す方針で、都市部の失業率は4.5%に抑えるとした。ともに2018年の目標と変わらなかった。企業の社会保障拠出を削減する方針も示した。
インフラ投資促進のため、中国財政省は地方政府の特別債発行枠を2兆1500億元に設定、昨年の1兆3500億元から拡大した。
今年の財政赤字目標はGDP比2.8%に設定。税収の減少と政府支出の増加を背景に、昨年の目標である2.6%を上回った。
李首相は、消費者物価の伸び率目標は3%前後にすると述べた。消費者物価の伸びは最近、2%を下回る水準まで鈍化しており、政府が刺激策を講じる余地が生じている。
李首相は「引き締め過ぎず緩め過ぎない」金融政策を目指すとし、大規模な流動性供給策は実施しないと述べた。マネーサプライM2と社会融資総量の伸び率目標は、名目GDP伸び率と同水準とした。
民間企業や小規模企業を支援するため、中小銀行の預金準備率について、条件付きの引き下げを強化すると表明。大手銀行による小規模企業向け融資を30%超拡大する方針を示した。
首相は、政府は市場主導の改革を続ける必要があるとも指摘。官僚主義的な対応を削減し、企業が「認可を得るよりも事業に注力するよう時間を割けるようにする」と述べた。
政府活動報告は、米国との通商交渉を促進し続けるとしたほか、経済のグローバル化と自由貿易の保護にコミットすると表明した。
外国からの投資の市場へのアクセスを一段と改善し、中国企業も外国企業も対等に扱い、公正な競争を営める環境を創出すると強調した。
*内容を追加しました。