参政党・神谷宗幣代表(2025年7月21日都内にて) REUTERS/Kim Kyung-Hoon TPX IMAGES OF THE DAY
2025年7月、「良識の府」こと参議院で参政党が大躍進を遂げ、話題となった。
参院は選挙区も比例区も範囲が広く、衆院選で有効な個人後援会では十分に集票できない。そこで効果的なのが知名度やネット選挙であり、参政党のような新興のポピュリズム政党が議席を得やすい。都市部の中選挙区制など、全体的に比例的な選挙制度も追い風となる。
参院はポピュリズムの促進剤なのだろうか──参議院研究者として、そう考え始めたとき、イギリスのEU離脱(Brexit)を論じたある新刊と出会い、参院の機能をより広い視野から考察する視座を得た。
その本は、2025年5月に刊行された、『わかりあえないイギリス──反エリートの現代政治』(若松邦弘著、岩波新書)である。本書では、小政党の参入を防ぐ衆議院の小選挙区制が、逆説的にポピュリズム(イギリス独立党、ファラージ党首)を涵養し、国民投票でのEU離脱派勝利を招いた、と指摘されている(*)。
一方、日本に視点を移すと、今回の参院選で躍進した参政党の支持者は、Brexitの支持層とおそらく類似している。
具体的には、往年の国家的威信を憧憬し、既存政党から離反した保守層や、経済のグローバル化に取り残された労働者(日本では、非正規雇用の割合が高い就職氷河期世代)などである。それだけに英国の経験は示唆に富む。
では、同じ小選挙区制国の日本は、政治制度の模範としてきたイギリスの「失敗」から何を学べるだろうか。