そのサイバー軍が10番目の統合軍として、戦略軍から独立し、並び立つことになった。
ポイントは、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、サイバー軍という五軍種になったわけではないということである。軍種の一つではなく、統合軍の一つになったことを重視すべきだろう。
というのも、陸、海、空、宇宙に次ぐ第五の作戦領域としてサイバースペースは位置づけられることが多かった。しかし、他の四つの自然領域と違ってサイバースペースは人工領域であり、本質的に異なる。サイバースペースは通信装置、通信回線、記憶装置などが組み合わさってできるバーチャルな空間である。人々はそれがあたかも実際に存在するかのように錯覚しているが、個々のユーザーが見ているのは全く異なるサイバースペースの景色であり、それを共有しているかのように錯覚しているだけである。
そこで米軍は、軍種の一つではなく、統合軍の一つとしてサイバー軍を位置づけた。
しかし、それは地域別の統合軍なのだろうか、それとも機能別の統合軍なのだろうか。サイバースペースを一つの空間、領域として見なすならば地域別統合軍とも言えなくはない。しかし、おそらくは機能別の統合軍として位置づけられるだろう。サイバースペースを構成する各種のサイバーシステムは、四つの軍種、他の九つの統合軍を横断的につないでいる。例えば、陸軍の部隊と海軍の部隊が連携するとき、現代戦ではデジタル化された指揮統制システムが不可欠であり、自軍のそれを守り、敵軍のそれを攻撃するのがサイバー軍である。すべての部隊に影響する存在としてサイバー軍は重要になる。
サイバー攻撃を隠さなくなった米軍
サイバー軍は2010年5月に設立され、キース・B・アレグザンダー陸軍大将が初代司令官に就任した。まだスノーデンによる暴露の前であり、米軍がどれだけサイバー攻撃を外国に仕掛けているのかははっきりしていなかった。
しかし、ちょうどサイバー軍設立の前後から、イランの核施設に対するサイバー攻撃スタックスネットが明るみになり始めていた。スタックスネットは、2011年6月になって米国とイスラエルの共同作戦だったと報じられるが、両国政府はいまだ認めていない。
報道では2009年1月までのジョージ・W・ブッシュ政権において計画が始まり、バラク・オバマ政権が受け継いだとされている。報道が正しいとすれば、スタックスネットへの取り組みの頃から米軍はサイバー攻撃を真剣に考え始め、サイバー軍が設立されたことになる。