完全民営化によって料金引き上げの可能性も

同社グループはもはやドメスティックな通信会社という位置付けであり、世界に打って出るどころか、現状維持に汲々(きゅうきゅう)としている。現在の同社にはGAFAなどグローバル企業と対等に戦う能力はないと考えたほうがよい。

さらに言えば、近年は日本経済の貧困化が著しく、多くの国民が携帯電話の料金を支払うことすらままならない状況となっている。そうであればこそ政府は通信会社各社に対して料金の引き下げを要請したともいえる。

完全民営化が行われれば、収益を上げるために料金の引き上げが行われる可能性もあり、そうなれば、政府の料金引き下げ政策と矛盾してしまう。近年、自然災害の多発や、人口減少に伴う限界集落の増加など、最低限の通信サービスを維持することすら難しい状況となりつつある。

通信サービスをめぐる状況は複雑化しており、単純に財源と経済安保だけで判断すべきではない。もっと包括的な議論を行うべきだろう。

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