<主題は摂食障害。ロシアのアニャ・ミロシュニチェンコはなぜ、異様で、グロテスクとも言える世界を作るのか>

古今東西、多くの優れた写真やアート作品には、その作家のアイデンティティや所属、すなわち属性が深く絡みついてきた。それが時として、作品そのものを超える普遍的な価値を生み出すことさえある。

今回取り上げるInstagramフォトグラファーも、そんな才能の片鱗を持つ1人だ。アニャ・ミロシュニチェンコ、36歳のロシア人である。

テーマは、彼女自身がその障害を抱える神経性過食症だ(ブリミアとも呼ばれる)。あるいは、それと対をなす拒食症である。

この2つは実質上、同等のものだ。精神分析医の故ヒルデ・ブルックが言うように、「食欲の病気ではなく、人からどう見られるのかという自尊心の病理」だからだ。一般に――とりわけ女性に顕著だが――スリムでありたいという願望から、いや正確には、スリムでない女性は魅力がない、幸せになれないという強迫観念から来ている。

ミロシュニチェンコ自身、子供の頃から母親を通してそうした概念に接してきた。育った家庭は、美と若さを保とうとする母親の強迫観念を追求するシンボルであふれていたという。数え切れないほどの香水ボトル、化粧品、ドレス、下着、マッサージ器、脂肪燃焼器具......。彼女の母は整形もしていた。

成長してからも、メディアが奏でるハッピーな女性のイメージは、ほぼ常にスリムな女性と決まっていた。そうしていつの間にか、ミロシュニチェンコ自身も、そうでなければ幸せになれないという強迫観念に取り憑かれてしまったのである。

それが彼女を摂食障害にし、過食に走らせた。食べ、一定のラインを超えると今度は、自らの手や歯ブラシを口の中に突っ込み、胃の中の物を吐き出す。その繰り返しだった。今も完治していない。

セルフポートレートも含む作品の多くは、どこか異様な、時にグロテスクとも言える観念の世界だ。包帯で巻いた女性の顔の隙間から、生肉が覗いているように見えるポートレート(上写真)。あるいは、「切断」された顔。

ミロシュニチェンコの「普通の女性」シリーズには、何かに対する恐怖で口を開けたヌードや悪魔の仮面を被ったものもある。「普通」どころか、確実に何かに取り憑かれ、その匂いが見る者にまで飛び火してくるような世界だ。

もちろん、そうした写真を通して彼女が伝えたいのは、女性はスリムでなければ美しくない、幸せになれない、という通俗社会概念への反論だ。自らの身体をドレスのようにチェンジしようとする女たちへの、社会への警告だ。意図的に被写体の女性を不気味にして撮影しているのもそのためである。

こうした写真はある種の流行りでもある