<男同士の裸の絡み合いが圧倒的に多いが、卑猥なだけではない。ピュアな感覚や心地良さが際立つ作品を生み出すのは、自身もゲイであるマット・ランバート、36歳の映像作家だ>

作品を数点見ただけで彼の世界に入ってしまった。同時に、懐かしさと嫉妬が込み上げてきた。私がニューヨークに住み始めた80年代後半から90年代、その頃のゲイ・ムーブメント・シーンを思い出したのだ。まだエイズが社会的にホットなイシューであり、LGBTという言葉が全く定着していなかった頃のことだ。

言い換えれば、ゲイたちに対する大きな差別がまだ残っていて、その存在自体がポリティカルであり、彼らのアイデンティティの証しであった。その生きざまはあまりにも格好良く、私はいつのまにか彼らに惹かれ、多くの時間を共にし、数多くの写真を撮っていた。

だが、一定のラインを超えては、彼らの世界に入れなかった。無論、理由はいろいろとあったが、最大の理由は、彼らの多くが本能的に持っていたセクシュアルな親密さの世界を完全には共有できなかったことだ。その素晴らしさを分かっていたとしても、またそれが精神的なものだったとしても、である。

書き出しが長くなってしまったが、今回取り上げるアーティストは、ゲイたちのそんなセクシュアリティを作品の題材にしているマット・ランバートである。

ロサンゼルスで生まれ育ち、現在はロンドンとベルリンの両都市をベースに、ヴォーグ誌、グッチなど、ファッション関係の仕事をメインとしている。ファインアートを学び、その後、映像作家として活動してきたが、自分の世界をより明白にするために写真活動も行い始めたという36歳のアメリカ人だ。

ランバートの作品の多くは、ひとつ間違えば、あるいは表面的に眺めれば、単にダーティーで卑猥なだけで終わってしまうかもしれない。裸の絡み合いが――大半は男同士の絡み合いだが――圧倒的に多いのだ。

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