[ロンドン 28日 ロイター] - 英国の国民投票での欧州連合(EU)離脱決定は週明け27日の金融市場に新たなショックを与えた。英国政府は政治と経済の混乱緩和に努めているにもかかわらず、通貨ポンドは下げ止まらない。
オズボーン英財務相は27日、EU離脱決定について、金融市場のさらなる変動が予想されるとしつつも、英経済は先行きの困難に対処できるほどに強固との認識を示した。それでもポンドは対ドルで31年ぶりの安値を付け、先週の予想外の離脱決定からの下げが続けている。
欧州銀行株は先週24日と27日の2営業日の下げ幅が過去最大を記録。MSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>も2営業日で2008年のリーマン・ショック級の下げ幅となっている。
格付け大手S&Pは27日、英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げ、AAとし、一段と引き下げる可能性もあると警告した。
英与党・保守党で、国民投票の結果を受けて24日に辞意を表明したキャメロン首相の後任選びが始まる中、野党・労働党では影の閣僚の辞任が相次ぎ、コービン党首に反発する動きが加速するなど、英国は政治的にも経済的にも深い混乱状態にある。
ロンドンの金融関係者の多くは「市場に方向性を示し、安心感を与えることが必要な状況なのに政治的リーダーシップが存在しない」と感じている。
キャメロン首相の後任選びで最も注目を集めているのは、EU離脱派を率いてきたボリス・ジョンソン前ロンドン市長。ブックメーカー(賭け業者)も最有力視しているが、保守党内にはかつての盟友であるキャメロン首相を裏切りEU離脱派に回ったとして、「反ボリス派」も多いと伝えられている。
スカイニュースは関係筋の情報として、スティーブン・クラブ雇用・年金相が出馬を検討していると報じた。雑誌スペクテイターの編集者はツイッターで、ジェレミー・ハント保健相も党首選に出馬する公算が大きいとの見方を示している。
キャメロン首相の報道官は、キャメロン氏は後継に関して特定の候補者への支持は表明しない立場だと述べた。
キャメロン首相は10月まで職務を継続するが、EU離脱の正式な手続きには次期首相が着手すべきとしている。保守党は9月初めまでに次期首相を選出する方針だ。
英国議会ではEU残留支持が過半数を占めていたが、首相は議会に対し、23日の投票の結果を受け入れるべきだと述べ、国民投票のやり直しに否定的な見方を示した。
一方、フランスのサパン財務相など、多くの欧州当局者は英国のEU離脱手続きを速やかに進めるよう求めている。
キャメロン首相は28日、ブリュッセルでEU首脳との夕食会に出席し、勝利を約束したはずの国民投票の結果について説明する。外交筋は、EUに加盟する27カ国は英国の離脱手続きの開始まで約3カ月待つしかないと諦めていると語る。
独仏伊首脳は27日、英国がEU離脱手続きを正式に申請する前に非公式な交渉を行うことはあり得ないとの考えで一致した。メルケル独首相は会見で、英国のEU離脱を遅らせるブレーキも加速させるアクセルも持ち合わせていないと語った。
キャメロン首相は28日の夕食会後にブリュッセルを離れる予定で、29日には英国が参加しない初めてのEU首脳会議が開催される。
今回の英国民投票では、多くの離脱支持者が移民問題に注目し、東欧からの移民が多すぎると不満を漏らしていた。
警察は26日、ポーランド系移民を差別する内容のチラシがハンチントンやイングランド中部で配布されたほか、ロンドン中心部のポーランド文化施設が落書きの被害にあったと発表。捜査を進めている。
キャメロン首相は議会で、ポーランド系移民が英国に多大な貢献をしたことを忘れてはならないと述べ、「ヘイトクライムなどの攻撃は許さない」と非難した。
*内容を追加します。