[ストックホルム/オスロ 20日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)から離脱することが決定すれば、スウェーデンとデンマーク、ノルウェーの北欧3カ国の中央銀行は金融政策運営が一段と困難になる恐れがある。3カ国の中銀は過去最低水準に近い政策金利により金融政策を変更する余地が限られているうえ、欧州中央銀行(ECB)が進めている金融緩和策の余波を受け、動きにくくなっているためだ。

考えられるシナリオの1つは、英国のEU離脱が決定して外国の資金が比較的安全とされるユーロ圏外のスウェーデンとデンマークの資産に押し寄せて両国の通貨がユーロに対して上昇するという筋書きだ。だがデフレや資産バブル、安定性を憂慮している両国の中銀にとって、通貨高はあまりにもタイミングが悪い。

23日に実施される英国の国民投票をめぐる不確実性により、デンマーククローネの対ユーロ相場は既に許容範囲の上限へ向けて動いている。

デンマーク中銀のローデ総裁は先週、こうした安全資産へ向けた資金フローからデンマーククローネのユーロとの連動(ペッグ)制を守るため、無制限の介入と外貨準備高の急増に向けて準備を整えていると明らかにした。

だが逆のシナリオも考えられる。英国のEU離脱が、規模が小さい北欧諸国の資産と通貨の急落に結び付く事態だ。

ノルディアのチーフエコノミスト、アニカ・ウィンスト氏は「事態が本当に混乱すれば、すべてがリスクオフの地合いとなり、投資家はスウェーデンやデンマーク、ノルウェーのような小国の通貨を売るだろう」と述べた。

ノルウェーとしては原油相場に依存していることで状況は複雑となる。英国民投票の結果と世界経済を巡る懸念を受けて原油相場が下落するようであれば、ノルウェークローネは下落する可能性が極めて高い。

ノルウェー中銀のオルセン総裁は先週、ロイターのインタビューに応じ、英国民投票の結果、市場が激しく変動する事態に備えていると話した。

<利下げ合戦>

3カ国とも自国通貨の相場を引き下げてインフレと成長を押し上げるため、ECBなど他の中央銀行の動きに沿って政策金利を引き下げている。ただこうした取り組みによって住宅価格は上昇、家計向け融資は増加し、これが一部の政策当局者にとって悩みの種となっている。

スウェーデン中銀は政策金利をマイナス0.50%に引き下げており、ノルウェー中銀は現在0.50%の政策金利をさらに引き下げる可能性がある。一方でデンマーク中銀は1月に政策金利を過去最低のマイナス0.75%からマイナス0.65%に引き上げている。

こうした中銀の動きは非公式な通貨戦争に結び付いている。スウェーデンとデンマークの両中銀は自国通貨が少しでも強含む場面を利下げの引き金になる可能性を秘めた要因として捉えている。

デンマーククローネ<EURDKK=D3>は20日、1ユーロ=7.4362クローネ近辺で推移。欧州為替相場メカニズム(ERM2)に基づきデンマークは、クローネ相場を1ユーロ=7.46038クローネを中心とする上下2.25%の範囲内に収めなければならない。実際には中銀は、より狭いレンジの上下0.50%以内にクローネ相場の変動を抑えている。

一方でノルディアのウィンスト氏は、スウェーデン経済のユーロ圏と比べた健全性を考慮すると、英国のEU離脱でスウェーデンクローナは上昇する可能性があるとも述べた。

スウェーデンクローナの対ユーロ相場<EURSEK=>は、同国中銀がインフレの上昇傾向を維持するため為替市場に介入する用意があると表明した昨年終盤、1ユーロ=9.12クローナの水準から弱含み、20日は9.35クローナ近辺で推移している。

国際市場では、デンマークやスウェーデンがEUからの離脱を検討して英国の動きに合流するとの観測が台頭するシナリオも考えられる、と語るのはスウェドバンクのアナリスト、カトリーヌ・ダニン氏。「スウェーデンが『スウェグジット』の開始を試みる国になると国際市場が憶測し始める事態もあり得る」と述べた。

(Daniel Dickson記者、Camilla Knudsen記者)

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