[ロンドン 20日 ロイター] - 英大手銀行が富裕層が多く住む地域で事業を拡大する一方、低所得層が多い地域では集中的に支店の閉鎖を進めている実態がロイターの調査で明らかになった。

低所得層は金融サービスのデジタル化に乗り遅れ、日常的な金融サービスを窓口業務に頼らざるを得ないが、そうした地域で逆に支店の閉鎖が進行している形だ。

HSBC<HSBA.L>、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド<RBS.L>、バークレイズ<BARC.L>、ロイズ・バンキング・グループ<LLOY.L>の大手各行が2015年4月から今年4月までに閉鎖した支店数は600に上る。

英国家統計局のデータによると、支店が閉鎖された地域の90%超は家計所得の中間値が英国の平均値(2万7600ポンド)を下回っていた。

一方、この間に大手各行が新たに開設した支店は8カ所で、うち5カ所はチェルシー、カナリーワーフなど、富裕層が多いロンドン市内の地区だった。

オンラインバンキングの普及を背景に、銀行は収入減少が進む中でコスト削減の道を模索せざるを得ず、人員削減や支店閉鎖に取り組んでいる。

銀行はどの支店を閉鎖するかは顧客数に基づいており、低所得層の多い地域を狙い撃ちしているわけではないとしている。

しかし市民団体は、デジタルバンキングに頼ることのできない人々が住む地域であまりにも急速に支店閉鎖が進んでいると指摘する。

「ムーブ・ユア・マネー」のフィオン・トラバース・スミス氏は「金融システムの2分化が起きている。1つは中間層・富裕層向けでもう1つが低所得層向けだ」と話す。

例えば人口300万人のウェールズは、1980年代に炭鉱が閉鎖されて以降、高失業率と貧困にあえいでいる。欧州連合(EU)の統計によるとウェスタンウェールズとバレーズの両地域は北部欧州で最も貧困率が高く、平均所得はEU平均の67%にとどまる。ウェールズは大手銀による支店閉鎖が南東部やロンドンの3倍に上る。

新たな技術開発やコスト削減により、銀行の支店閉鎖のペースは加速する見通しだ。UBSは1月に公表したリポートで、英国の銀行の支店数は今後5年以内に半分に減るかもしれないと予想した。

英金融行動監視機構(FCA)も先月のリポートで「将来的には富裕層など対面サービスの対価を支払える人々だけが窓口サービスを受けられるようになるだろう」と指摘した。

(Andrew MacAskill、Lawrence White記者)

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