[釧路市 2日 ロイター] - 日銀の佐藤健裕審議委員は2日、釧路市内で講演し、2%の物価目標実現は長期戦であるため、国債などの資産買い入れは年間80兆円の目標額達成にこだわらない柔軟な運営に早期に転換することが急務だと警鐘を鳴らした。

1月に導入を決めたマイナス金利は、金融機関の経営圧迫を通じて金融引き締め的に作用すると批判。人々の物価観である期待インフレ率も下げるリスクがあると指摘した。

<金利低下の中での買い入れ未達「問題ない」>

日銀は現在、国債など保有資産を年間80兆円増やす資産買い入れを進めているが、債券市場では国債流通額の枯渇による日銀の緩和限界論がくすぶる。佐藤委員は「日銀が市場価格より高い値段で買い入れを続けなければ、買い入れに支障が生じる可能性が相応にある」と指摘。「現在の短期決戦型の政策の枠組みを、持久戦に適した枠組みに修正すべき」と強調した。

具体的には、買い入れ運営と買い入れ目標の柔軟化を提唱。ただし、買い入れ目標額の未達成が「テーパリング(緩和縮小)と誤解されて不測の反応を招くリスクがある」とし、「金利低下効果がこれだけ強力に発揮している以上、若干の未達が生じても全く問題がないとの認識が市場に浸透していくのが望ましい」と説明した。

<マイナス金利は「引き締め」、期待インフレ率にも影響>

マイナス金利導入により、金融機関の貸出金利が調達金利を下回る逆ザヤ化が部分的に生じているため、金融機関は貸し出しを増やすよりも減らすのが「合理的な経営判断となっている」として、金融引き締め的に作用していると批判した。

またマイナス金利により、金融機関は「わずかなプラスの利回りを求め超長期国債購入に向かっている」とし、「2003年の『VaRショック』前のような危うさを感じる」と、金利が反転急上昇するリスクを懸念した。

金融機関の超長期国債購入は、資金を安全資産からリスク資産に振り向ける政策意図には「むしろ逆行している」と述べた。また、超長期金利低下は「年金負債などの割引率低下を通じて社会保障制度の持続性を脅かす」とも指摘した。

さらに景気ウオッチャー調査では「マイナス金利政策により人々のマインドが慎重化している可能性が示唆されている」ため、日銀が物価を引き上げる上で重視している人々の期待インフレ率にも「影響を及ぼしている」と懸念を示した。

<「無理に2%達成する必要ない」>

物価動向については、「無理に2%を達成する必要はない」との持論を繰り返した。小売店の販売データによる財の物価指数は「年初来の円高ですでに頭打ち感が見られる」ため、「サービス価格がそれを相殺し、物価全体の伸びが高まる、あるいは現状程度の伸び率を維持するのが可能かどうかは不確実性が高い」との見解を示した。

*内容を追加します。

(竹本能文 編集:山川薫)

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