原油流出でえらい迷惑しとるアメリカ人の被害をちゃんと補償できるんか? 株主への配当なんかしとる場合と違うやろ? 特別の口座を作って補償に充てるカネをそこに預けておかんかい──オバマ政権は英石油大手BPにそう迫っている。そんな口座を指す言葉がこれ。


【escrow account】
(エスクロー・アカウント)

預託口座。資金が受取人に支払われるまで当事者に代わって第三者が管理する口座・基金。

「エスクロー」は日本語になっているのでご存じの読者も多いだろう。いろいろな商取引で使われている仕組みで、私は使ったことがないがネットオークションでも定着しているようだ。

 ネットオークションのエスクローサービスの場合、モノを売り買いする当事者同士が直接カネの受け渡しをせず、買い手が品物を受け取るまで第三者(エスクローサービス業者)が代金を預かる。こうすることで安全な取引を手助けするという。

 同じエスクローという言葉が、原油流出関連のニュースで使われ始めた。被害の補償は商取引とは違うけれど、第三者がいったんお金を預かるという点がエスクローの肝だ。BP用のエスクロー口座が作られるとしたら、お金を出すのはもちろんBPで、受取人は補償を受ける個人や企業になる。お金の管理は独立した第三者委員会に委ねられる。補償を公正に素早く行うのが狙い。BP任せにすると補償を渋るかもしれないからだ。 


エスクロー escrowは動詞としても使われる。We want to make sure that money is escrowed(金が確実に預託されるようにしたい)という具合。また名詞として set money aside in escrow(金を預託しておく)という表現も見かける。

 オバマ政権は原油流出に伴うすべての被害をBPに補償させる考えだが、BPの負担額が最終的にいくらになるかはまだ分からない。米民主党の一部議員らは「とりあえず200億ドル(1兆8000億円)預けろ」と要求した。こうした動きを受けて15日、BPの格付けがさらに引き下げられた。そんな大金を預託すれば財務を圧迫するとの見方からだ。

 もしかするとエスクローがBPの寿命を縮めることになるのだろうか。

──編集部・山際博士

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