[北京 14日 ロイター] - 中国は輸出が低迷しているにもかかわらず、人民元高基調を維持している。経済が減速するなか、元安で資本流出が加速することへの懸念が背景にあるようだ。
人民元は今年、対ユーロ<CNYEUR=R>、対インドネシアルピア<CNYIDR=R>、対豪ドル<CNYAUD=R>で過去最高値を更新。中国当局は、堅調な米ドルに対しても人民元を安定的に推移させている。
中国の3月輸出は前年同月比15%減となった。ゴールドマン・サックスによると、人民元の貿易加重指数は昨年6月以降で13%上昇しており、元高がさえない輸出の主因となっている。
本来ならば人民元安に誘導し、輸出競争力を高めたいところだが、資本流出を加速させ、経済成長率を一段と損ないかねないとの懸念がある。
中国の資本・金融収支は2014年第4・四半期に912億ドルの赤字だったほか、国家外為管理局(SAFE)は今年の資本フローについて大幅な変動が予想されると警告している。
また、スタンダード・チャータード(香港)のストラテジスト、エディー・チュン氏は、中国が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨への人民元採用を目指していることも最近の人民元高と関係しているかもしれないと指摘する。
人民元のSDR採用を目論む中国にとっては、IMFで最も発言力のある米国などの貿易パートナーと人民元相場で争いを抱えるなか、対ドルで人民元の安定を維持することが重要になっているという。
一方、一部エコノミストは人民元高が中国貿易に打撃を与えているとの見方に懐疑的だ。
キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のマーク・ウィリアムズ氏は「(人民元高が中国の輸出に)影響を与えているとの見方を否定するわけではないが、データではそうした影響を感じない」と話す。1─3月の中国輸出は4.7%増となっており、輸出が落ち込んでいる台湾や韓国に比べれば十分堅調にみえると指摘する。
江蘇省常州市で衣料品などを欧州や中東、東南アジアに輸出しているある業者は、人民元高の影響はないと説明。通貨ヘッジのおかげもあって、輸出品価格に今のところ変化はないという。
とはいえ「いつかは間違いなく影響が顕在化するだろう」と付け加えることも忘れなかった。
(Koh Gui Qing記者 執筆協力:Beijing Newsoom, J.R. Wu in Taipei and Yoo Choonsik in Seoul 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)