もう1つの案は、この地域を「自由経済圏(FEZ)」にするというもの。ウクライナは、欧州諸国の助言によりこの案を唱えているようだ。
DMZの場合、将来ロシアがこの地域を併合する可能性が残るが、FEZであれば、少なくとも理屈の上では、ウクライナがこの地域における権益を保持し続けられる。
いずれにせよ、緩衝地帯の設置に関してお手本になる先例はほとんどない。
1953年には、朝鮮戦争の休戦協定により、朝鮮半島の北緯38度線沿いにDMZが設置された。この休戦協定は、アメリカが朝鮮半島に部隊を展開させていたからこそ実現したという面が大きい。
その点、トランプ政権は、ウクライナへの米軍部隊派遣を繰り返し否定している。欧州諸国も、ウクライナ軍の訓練以外の役割で部隊を派遣することは避けるかもしれない。
79年のエジプトとイスラエルの平和条約でも、シナイ半島に兵力制限区域が設けられた。この平和条約がまとまった背景には、双方の政治的なそろばん勘定が変わり、隣国として共存することを選んだという事情があった。
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