荒川河川敷のホームレス
新荒川大橋の近くにある鉄道橋の下で、救助隊員が救助訓練を行っていた

死にやすい橋を選ぶより、生きにくい道に戻ってほしい

ところで、荒川に掛かる新荒川大橋について、桂さんは私に、外国人にはあまり知られていない話を教えてくれた。

私たちの目の前にそびえる雄大な橋は、実は自殺者の多い場所でもある。橋は高く、水も深い(橋の中央の川の水は少なくとも10メートルの深さがある)ため、石を体に縛って飛び降りれば、すぐに姿を消すことができるという。助けようと思っても難しく、とても「死にやすい」場所なのだろう。

私は何度もこの橋の上を通ったことがあるが、橋を渡る人は皆、慌ただしく行ったり来たりしている。私だけがぼんやりとキョロキョロしていて、時々立ち止まって写真を撮ったりしていた。

聞いたところによると、お節介好きなドライバーは車で橋の中央を通る際、窓の外で誰かがうろうろしているのを見つけたら、警察に通報することがあるそうだ。

思い詰めて新荒川大橋で命を絶とうとする人に、私は言いたい、死にやすい橋を選ぶより、生きにくい道に戻ってきてほしい。人は死んだら二度と生き返らないが、生きている限り、火を浴びて生き返る(中国語で「浴火重生」という)、つまり逆境から立ち直り、再び輝くことができるのだから。

桂さんが10年前にホームレスになったのは一つの冒険だったと言ったが、考えてみれば、私が今ホームレスの問題を取り上げるのも一種の冒険ではないか。

私たちの骨の中には冒険精神が宿っており、血統の中にも遠方の少数民族の遺伝子が含まれているのかもしれない。

荒川河川敷のホームレス
私たちは3人とも鼻筋が高い(左から、桂さん、筆者、斎藤さん)

シルクロードの各民族の血統について研究したことがある私の姉から、上の3人の写真を見て、連絡があった。

「今度の取材の時、鼻の高いこの2人の先祖3代はどこの人か、アイヌや沖縄の人じゃないかと聞いてみてほしい」と言うのだ。

私にはそれを聞く勇気はない。

彼らに、「あなたは、私たちのことを記録し取材してもまだ足りないのか、祖先3代までも調べ尽くすつもりか?」と言われるのが怖いのだ。

※ルポ第4話:猫のために福祉施設や生活保護を拒否するホームレスもいる...荒川河畔の動物たち に続く

※ルポ第2話はこちら:「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち

(編集協力:中川弘子)
相談窓口「日本いのちの電話」 厚生労働省は悩みを抱えている人に対して相談窓口の利用を呼びかけています。 0570・783・556(10:00~22:00) 0120・783・556(毎日 16:00~21:00、毎月10日 8:00~翌日8:00)

[筆者]

趙海成(チャオ・ハイチェン)

1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した――在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。

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