欧米諸国は過去に間違いを犯した上に、これらの国を長年にわたって無視してきた。特にイランは重要な役割を果たすはずだ。中東における武装組織のネットワーク「抵抗の枢軸」の中心にあり、地域の覇権を追求している。

こうした情勢の変化はアメリカに不利に働く。超大国としての立場が脅かされ、アメリカはウクライナと中東で戦争への関与を強めざるを得なくなる。

アメリカは対イラク政策で失敗して中東から遠ざかっていたが、ロシアのウクライナ侵攻、北アジア権威主義圏の形成、イスラム組織ハマスによるイスラエル急襲を受けて、距離を置く時期は終わったようだ。

アメリカの政策立案者や専門家は進行中の国際秩序再編について、世界を導く超大国としてのアメリカの役割と、その将来の地位に関わる問題だと認識するようになった。

AI(人工知能)などの未来技術で優位に立つための競争が始まっている今、世界秩序の再編は地政学だけでなく、技術革新、経済、移民、教育を包摂するプロセスでもある。根本的に違う2つの体制間に生じる新たな対立は、国際情勢のあらゆる場面に広がっている。

©Project Syndicate

PS_Joschka Fischer130.jpgヨシュカ・フィッシャー

JOSCHKA FISCHER

左翼活動家から政治家に転身。ドイツ緑の党の中心人物として、ヘッセン州環境・エネルギー相などを歴任した後、シュレーダー政権では連邦外務大臣兼副首相を務めた。
ニューズウィーク日本版 世界宗教入門
2026年5月5日/12日号(4月28日発売)は「世界宗教入門」特集。

イラン戦争の背景にある三大一神教を基礎から読み解く[PLUS]宗教学者・加藤喜之教授の「福音派」超解説

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます