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雑貨屋には文民姿と軍服姿を組み合わせたゼレンスキーのブロマイドが(同11月、ザポリッジャ) PHOTOGRAPH BY TAKASHI OZAKI

「必要なのは軍隊の改革だ」

年が明け、ウクライナ政府は追加動員に関する法案を取り下げる事態に陥っている。招集令状を電子メールで送り付けるなどの手法が憲法違反に当たると指摘されたからだ。兵士不足の解消は見通せなくなった。

ウクライナ軍の現状を憂える声もある。ドネツク州北部にある第15連隊の歩兵、マキシム・アブラモブ(26)は「いま必要なのは軍隊の改革だ。訓練や選抜の方法を刷新する必要がある」と訴える。

マキシムは戦闘中にロシア軍の攻撃を受け、3度負傷した。右肘は激しく損傷し、ドイツで手術を受けた。いま部隊に戻り、ルハンスク州クレミンナで任務に就いている。「戦争は数だけそろえて勝てるものではない」と彼は言う。7割もの兵士が実戦を経験していない部隊もあるというウクライナ軍は、マキシムの提言に応えることができるだろうか。

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マキシムは右肘を負傷しドイツで手術を受けた(同11月) PHOTOGRAPH BY TAKASHI OZAKI

膨れ上がる戦費を賄っていけるのかも大きな課題だ。兵士の月給について教えてくれたのはドネツク州リマンの部隊に所属するオレクシー(36)だ。「ウクライナ軍は戦闘地と非戦闘地で給与に差をつけている。私のように前線で戦う兵士は、月に10万フリブニャ(約40万円)。南東部以外で任務に就いている兵士はその3分の1ほどだ」

オデッサのショッピングモールでマネジャーをしていたときの月給は3万フリブニャ(12万円)だったというオレクシー。国家統計局によると、昨年第3四半期の平均月収は1万7937フリブニャ(約7万円)だ。

月10万フリブニャについて、「命を懸けた仕事にしては安い」と、どの兵士も口をそろえる。しかし、国家破綻の危機にあえいできたウクライナにとって、平均月収の5倍以上に相当する給与を前線の兵士に払い続けるのは容易でない。ときどき耳にする給与の遅配が拡大すれば、厭戦ムードは一気に高まるだろう。

弓形に伸びる1000キロに及ぶ前線で、最大の激戦地がドネツク州にある。18世紀、最初に入植したアウディイの名が由来の街、アウディーイウカだ。昨年10月、ウクライナ軍の反転攻勢が失速したのを機に、ロシア軍はここに猛攻撃を仕掛けた。

アウディーイウカが包囲寸前の危機に陥ったとき、呼び寄せられたのがザポリッジャ攻撃軸を主導していた第47独立機械化旅団だった。破壊を免れたレオパルト2のほとんどもここに移動させられた。

その後、同じく配置転換を求められたのが、開戦後に軍都となったオリヒウの野戦病院で医療補助をしていたユーリ・イワノビッチ(48)たち人道支援のメンバーだった。

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アウディーイウカの野戦病院。帽子姿がユーリ(23年12月) COURTESY OF YURIY IVANOVYCH
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