「効く人と効かない人がいる理由は不明」だが

この数字は今後改善するとバンセルはみる。「ワクチンが効く人と効かない人がいる理由は不明だ。免疫には解明されていないことが多い。だが毎週のように新しい研究が発表されており、私は楽観視している」

サンフランシスコのバイオ企業ジェネンテックはドイツの製薬会社ビオンテックと組んで、個別化癌ワクチンを設計している。癌免疫学部門の副社長アイラ・メルマンらのチームは5月、ネイチャー誌に論文を発表。5年生存率が12%と致死性が高いタイプの膵臓癌患者16人に対するmRNAワクチンの効果を詳解した。

ワクチンは8人の患者の体内で膵臓癌を認識するT細胞を活性化させ、治療から1年半がたった時点で再発はなかった。うち1人のケースでは、T細胞が肝臓に転移した癌細胞まで消滅させたと考えられた。一方、ワクチンに反応しなかった8人は、平均1年余りで癌が再発した。

10月、ジェネンテックは世界の80近い医療機関で第II相臨床試験の被験者260人の募集を始めた。研究の進展とともに、ワクチンの効果は確実に上がっていくだろう。

<本誌2024年1月30日号掲載>

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