外交相手は日米だけ?

尹は、「96カ国の首脳に会い」、釜山への投票を求めたとうそぶいた。政府は招致活動に4億ドル以上を費やし、外務省は招致活動に全力を注いだ。閣僚をはじめ政府高官が世界を飛び回って釜山をアピールし、大統領夫人は関連品を自らデザインして着用した。

だが、こうした招致外交は、完全に筋違いだった。

かねてから尹は、韓国を「グローバル中枢国家」と位置付け、野心的な外交戦略を唱えてきた。それ自体は結構だが、実際の外交活動はアメリカと日本ばかりを向いてきた。それ以外の国との関与は薄っぺらで、韓国の孤立を招いていると指摘されてきた。

実際、尹の下で韓国は中国との対立を深め、その結果、中国の影響力が拡大しているアフリカ諸国を遠ざけた。中国は今回の万博開催地を決める投票で、釜山支持を撤回するよう、アフリカや中南米の一部に働きかけたとされる。

屈辱的な万博招致の失敗は、「外交のパラダイムを変える」よう尹を促すはずだと、最大野党「共に民主党」はみる。

与党「国民の力」の李俊鍚(イ・ジュンソク)前代表も、尹の外交姿勢が、韓国が世界的なイベントの開催地になる可能性を傷つけていると認める。

尹は外交面で、中国との対立を抑えて、途上国が中国のしっぺ返しを恐れずに韓国とも良好な関係を維持できるビジョンを示すべきだった。

経済力を武器にした招致戦略も、空回りに終わった。

国際機関における投票では、途上国の票をどれだけ獲得できるかがカギになる。そして途上国の票獲得は、見返りを約束する形で行われることが多い。

韓国政府はかねてから、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」支援の重要性を唱え、気候変動や食料安全保障の分野における技術移転や協力を提案してきた。

だが、こうした支援はイデオロギー的で、具体性に欠ける。これに対してサウジアラビアの提案には強烈な魅力があった。アフリカ諸国に数十億ドルの開発援助を提案するとともに、莫大な債務の返済支援や、合計250億ドル相当の投資も申し入れた。

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