BTSの力も借りたが

それでも尹政権は、韓国の財閥とKポップのアイドルを動員すれば、格上の相手を打ち負かせると信じていた。

世界的に有名な韓国ブランドの経営者たちが、世界を飛び回って(しばしば尹に同行して)政府の宣伝文句を繰り返し、尹が語る経済協力の提案に信憑性を持たせた。外国のバスやタクシーなどの公共交通機関は釜山万博の宣伝広告でラッピングされた。

さらに、釜山万博の広報大使としてKポップ・アイドルが大量に起用された。BTS(防弾少年団)は昨年10月に釜山でコンサートを開いたし、プロモーション映像にはアイドルが次々と登場する。

パリでの投票直前に披露された「最後のアピール映像」でも、BGMにPSY(サイ)の大ヒット曲「江南スタイル」が使われた。

だが、江南はソウルの高級住宅街で、海辺の街・釜山とは歴史も雰囲気も建築も全然違う。釜山の魅力を無視した招致活動は、韓国の人々が大いに不満を抱いている点の1つだ。韓国文化はKポップだけではない。

韓国では来年4月に総選挙が予定されており、有権者の不満には早急に対処する必要がある。尹に続き、国民の力の金起炫(キム・ギヒョン)代表も謝罪を表明したのにはそうした背景がある。

選挙のためとはいえ、屈辱的な万博招致の失敗が、尹政権の姿勢に変化をもたらすきっかけとなるのは良いことだ。政府内には、前政権が招致活動に早くから取り組まなかったのが敗因だとか、サウジアラビアのオイルマネーの前では敗北もやむなしという声も多い。しかし、そんな後付けの言い訳はやめるべきだ。

韓国政府は、今こそ古い習慣を捨てて、尹の残りの任期に気を引き締めるべきだ。

From thediplomat.com

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