「粘り勝ち」を目指す敵

プーチンがウクライナとロシアの一体性を強調した悪名高い論文を発表したのは、まさにこの時期だ。問題の論文はイデオロギー的にも戦争正当化のロジックとしても、ウクライナ侵攻の序章となった。

いま停戦に応じれば、プーチンはたなざらしの諸問題に加え、西側の制裁と大規模な侵攻がもたらした新たな問題にも対処しなければならない。良いことは1つもないのだ。

西側に突き付けられた困難な選択は「戦争か妥協か」ではない。「敗北か勝利か」だ。

西側が今のレベルの支援を続けるか、停戦交渉を促しつつ支援を減らせば、敗北の確率が高まる。プーチンが当てにしているのは、まさにそれだ。

彼の勝ち筋の根幹を成すのは、西側(それに付随してウクライナ)よりもロシアのほうが粘り強く消耗戦を続けられるという読みにほかならない。妥協に望みを託す西側のあやふやな姿勢と違って、プーチンの戦略には明確なロジックがあるのだ。

西側は今こそ問うべきだ。ウクライナの勝利を可能にするために支援を大幅に増やすコストと、現状の支援を続けるか支援を減らすことでウクライナの敗北を招くコスト。そのどちらが大きいか。

敗北すれば、どうなるか。勝利したロシアはこれまでに奪った5地域を占領し、それを通じてウクライナ政府を影響下もしくは支配下に置くが、それだけでは満足しないだろう。

この戦争でロシアも軍事的、経済的に打撃を受けたから、ポーランドやバルト3国に即座に手を出す余裕はないかもしれないが、モルドバの存続は危うくなる。しかも、自信を付けたロシアが軍備を立て直せば、どうなるか。分別ある欧州諸国は、そして分別ある米政権はそんな危ない賭けには乗らないはずだ。

もちろんウクライナの勝利もコストを伴う。支援を拡大しテコ入れを続ける西側の経済的な負担は膨大なものとなる。中東でも戦闘が起きている今はなおさらだ。それでもウクライナの敗北がもたらす実存的危機に比べれば、負担は安いものではないか。

From Foreign Policy Magazine

【最新動画】クレムリンで外国視察団に挨拶するプーチン(2023年12月4日)
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