厳しい現実

調査会社デモグラフィアによれば、住宅の入手しやすさという点で、香港は13年連続で世界ワースト1位となっている。住宅難が香港における大半の社会問題の原因だとされている。

低所得層向けに利用可能な公営住宅はあるが、平均5.3年の入居待ちとなっている。ファミリーや高齢者が優先されるため、若い単身者が入居できるチャンスはゼロに近い。

  

香港の「ホステル」制度がスタートしたのは2011年。だが、ようやく本格化したのは昨年7月に習主席が香港を訪れ、当局は若年世代の住宅・雇用問題への取り組みを強化し、自己鍛錬の機会を増やさなければならないと発言してからだ。

当時、香港には80床のホステルが1カ所あるだけだったが、その後、香港政府は供給拡大を約束している。

当初の計画では、完全な新築や非営利団体が所有する物件の再開発により3400床を供給することになっていたが、当局は現在、これに上乗せして、ホテルの改装により5年間で3000床を提供することを目指している。

若年層の居住権を巡り活動する団体が5月に発表した調査結果によれば、回答者の90%近くは申し込むつもりはないと答えており、ホステルの魅力は限定的になるとみられる。むしろ回答者の大半は、いつか自分のアパートを購入するまで貯蓄に励むことを優先している。

そうは言っても、ホーさんが入居したホステル「ビーリビング」の応募倍率は5倍に達した。

新たに「ビーリビング」に入居したチェルシー・トゥンさん(23)にとって、今回の転居は、ボーイフレンドと一緒に暮らしつつ、自分たちのアパートを購入するチャンスとなる。

保険代理店で働くトゥンさんは「ここで暮らしていれば、頭金は貯金できる」と話す。

ただ、ホステル計画にはいくつか課題もある。

この3年間、コロナ禍による厳しい打撃を受けてきたホテル業界では、ここに来て需要の増加が見られるため、ホテル改装によるホステル拡大が困難になる可能性がある。

またホステルを運営する非営利団体は、持続可能な資金調達モデルをなかなか見い出せずにいる。

政府の制度に基づいて建設された初のホステルを運営する団体は、賃料収入は全て建物の維持管理とプロジェクト管理に充てられていると説明する。

香港青年協会でスーパーバイザーを務めるキャリー・ウォン氏は、「運営を続けていくためには、コスト削減と資金調達の方法を考える必要がある」と語る。

香港城市大学で住宅・都市問題を研究するガイ・ミンイップ教授は、ホステル制度による供給量は限定的になる見込みで、香港の若年層のフラストレーションを緩和するという意味でもあまり期待はできないと話す。

「問題の根源は住宅だけではない。機会や将来への展望、政治、民主主義などあらゆることについて若者がどう考えているかという点に関連していることが、研究で明らかになっている」と同教授は言う。

(Clare Jim記者、翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]
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