足元の円安は対ユーロなどが主導しており、ドル指数は102半ばと、昨年9月に付けた高値の114後半から大きく下落している。ドル高による新興国リスクの後退や、米国の利上げも終盤に差し掛かる中、米国政府から為替介入の了解を得るのは難しいとの見方もある。

市場では「日本当局は貿易の規模などを踏まえ、影響力が大きい対ドルしか見ていない」(国内金融機関)との見方もあり、対ユーロなどでの介入警戒感は強まっていない。

ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト、上野剛志氏は「資源価格の下落に伴いインフレ圧力が相殺され、輸入物価の上昇は一巡した。春闘である程度賃上げが進んだほか、円安で日経平均株価が上昇した面もあり、昨年よりも、悪い円安という印象を和らげている」と指摘、円安に対する危機感が高まっていないと分析する。

ECBフォーラムで円安進行警戒

市場の注目は、今晩の欧州中央銀行(ECB)フォーラム。植田和男日銀総裁のほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁の講演が予定されている。

前日のラガルドECB総裁による積極的な金融引き締めに対する発言は目新しいものではなかったものの、日欧の金融政策の違いがより意識され、ユーロ/円は一時157円後半と約15年ぶりの高値まで上昇した。

りそな銀行の総合資金部市場トレーディング室、田中春菜氏は今晩のECBフォーラムで「植田日銀総裁が従来と同様な金融緩和姿勢を示せば、仕掛け的な円売りが進む可能性がある」との見方を示す。

1ドル145円を超えれば、昨年高値と今年安値の76.4%戻しの146円前半が目先の上値として意識される。米国の追加利上げも終盤に差し掛かっており、昨年のように150円を突破するとの見方は現状では少ないが、7月の日銀金融政策決定会合で政策修正されなければ、円安がさらに進行する可能性があるとの指摘も出ている。

「政府・日銀の為替介入に対する本気度を見極めたいとの思惑もあり、(ドル/円は)じわじわと上値をうかがう展開となるのではないか」と、上田東短フォレックスの営業企画室室長、阪井勇蔵氏は予想する。実弾介入がなければ、円安は止まらないとの見方も市場では出ている。

SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は、政府・日銀による円買い介入が実施され、ドル/円が一時的に下落したとしても、「金融政策の方向性の違いという構図が変わらない限り、再び円は売られる」として、円安トレンドが一変することは難しいとみている。

(坂口茉莉子 編集:伊賀大記、石田仁志)

[ロイター]
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