ダリエン地峡を閉鎖へ

メテティには2カ所に移民の待機センターがある。身を寄せた人の多くが道中で強盗の被害に遭い、身ぐるみ剝がれ、渡航書類も持っていない。

コロンビア軍の将校だったカミーロ・マカナ(54)は、反体制武装組織FARCの分派から殺害の脅迫を受け、移住を決意した。だがダリエン地峡でコロンビア人の盗賊に襲われ、全てを奪われた。

「パスポートがないから外に出られない。バス代もない。これではパスポート(の再発行)も手配できない」

バイデン政権は4月、ダリエン地峡を渡る主要なルートを閉鎖するため、コロンビアとパナマの軍隊と協力すると表明した。共同発表によると、2カ月にわたって仲介業者などを取り締まる作戦を展開する。別に安全なルートを用意する計画もあるという。

ベネズエラのマドゥロ政権に反対する活動家でジャーナリストのオメル・アレハンドロ・バリオス・チャコン(37)は6年前、コロンビアに脱出した。

しかし昨年のコロンビア大統領選で勝利したグスタボ・ペトロがベネズエラとの国交再開を決めたので、別の国へ移ることにした。

しかしチャコンと妻はダリエン地峡で強盗に襲われた。2人はパナマにとどまり、この国で亡命を申請するという。「ベネズエラ政府が絶対に手を出せない」アメリカに移住するのが夢だが、今は「命を守れる国ならどこでもいい」とチャコンは言う。

新しい規則を適用しても、ダリエン地峡を渡る人の流れが止まるとは思えない。それはアメリカ政府も認めている。弱い立場の移民を狙う強盗や暴力犯罪、性的暴行などを防ぐ手段もない。

チャコンも、そして冒頭に引いたタルキも、仲介業者に大金を払う代わりに危険なルートを選んでダリエン地峡を越え、パナマまで来た。でも、まだ終わりではない。

「長くて厳しく危険な道だ」とチャコンは言う。「貧者の道さ」

From Foreign Policy Magazine

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