<独裁者は当該国だけの問題ではない。世界中に波紋を広げ、万人の利益に反するからこそ、各国元首の任期を世界統一基準で縛る国際法が必要>

国際刑事裁判所(ICC)は3月17日、ロシアのプーチン大統領に対し、戦争犯罪の疑いで逮捕状を発行した。ウクライナの子供たちを強制的にロシアへ連れ去ったことの責任を問うものだ。これによりICCに加盟する123の国と地域は、その機会があればプーチンを逮捕する義務を負う。

今やプーチンは、冷酷で奔放な暴君と化した。それだけでなく、彼の行動はより大きな流れを象徴している。それは、世界で民主主義がこれまで以上に窮地に立たされているという状況だ。

民主主義・選挙支援国際研究所(本部スウェーデン)の報告書「民主主義の世界的状況」を見れば、世界で民主主義が危機的なほどに衰退していることが分かる。昨年調査した173カ国の半数以上で、民主主義は熾烈な攻撃に遭っていた。

何とも憂慮すべき事態だ。グローバル化が進んだ世界では、強権主義を抑えるという課題を個々の国だけに任せられない。そうなると問題は、ICCのような国際機関に何ができるかという点になる。

強権的な政治指導者は実は不安感にさいなまれ、暴君へと変貌する傾向がある。その危険性を私が思い知ったのは、2013年にニカラグアの独裁者ダニエル・オルテガと首都マナグアで会った後のことだ。

腐敗したソモサ政権を倒したオルテガに、私は学生時代から尊敬の念を抱いていた。ようやく会えたそのときには、サンディニスタ革命やニカラグアの抱える課題についてじっくりと語り合った。

ところがその後、オルテガの暴君ぶりが次々と明るみに出た。会ったときには気付かなかったが、私が話をした男はソモサを倒したときの彼ではなく、かつて自身が対峙した存在そのものになっていたのだ。

もう当該国だけの問題ではない

なぜこうなるのか。政治指導者はいずれかの時点で、自身の任期を延長する努力をすべきかどうか決断を迫られる。きれい事では済まないのが政治だから、倫理的な一線を越えようという誘惑が必ず生じる。

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国際法がカバーする範囲を拡大すべきなのは明らか