歌曲賞にノミネートされたアーティストたちは毎年、豪華な衣装とセットでパフォーマンスを行っているが、舞台セットもないシンプルなステージで素のパフォーマンスを行ったのには訳があった。
ホアンキン・フェニックスと共演する『ジョーカー』の続編『Joker:Folie a Deux(原題)』でハーレイ・クインを演じているガガは、撮影で多忙なことを理由に1度は辞退したものの、直前になって「やっぱり何かしたい」と本人の強い希望で出演が決まったとエグゼクティブ・プロデューサーのリッキー・カーシュナーがハリウッド・レポーター誌に明かした。
準備時間がないため大きなパフォーマンスはできないが、「本当の私を見てもらいたい」という想いから、楽曲が持つメッセージと歌声をダイレクトに届けるステージになったという。
「私たちはみんな、お互いを必要としており、この人生を生きていくのに多くの愛を必要としています。時にはヒーローも必要です。ヒーローは私たちの周りにいます。例え、心が折れていると感じていても、自分が自分自身のヒーローになれると思えるかもしれません」と、歌う前に観客に語りかけていたガガ。
この日のレッドカーペットでは、そんな言葉を体現するかのように自身のすぐ後ろでカメラマンが転倒すると小走りで駆け寄り、手を差し伸べて助ける様子がカメラに収められていた。その自然な振舞いに「優しい魂の持ち主」「美しい」「真のクイーン」と多くのファンが感動。例えメイクなしでも、破れたジーンズを穿いていても、内面の美しさがあれば人々の魂を揺さぶることができると証明する最高の舞台となった。
[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。
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