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多くのアメリカ人がウィーチャットをスマホに入れて日々使っているが、中国当局が世論操作に利用するリスクがある PHOTO ILLUSTRATION BY KOSHIRO K/SHUTTERSTCOK

アメリカのユーザーを検閲する場合、最もよく使われる手はそのユーザーのアカウントへの中国からのアクセスをブロックする、あるいは中国の電話番号をアカウントに使っているユーザーがアクセスできないようにする方法だ。検閲されている本人はログインしてさまざまな機能にアクセスできるが他のほとんどのユーザーは閲覧できない。

より厳しいアクセス全面禁止の場合は本人もログインできず、これは中国ほどではないがアメリカでも起きている。あるいは個別のコンテンツをユーザーに気付かれずに完全に遮断し、ユーザーは何も反応がないことで初めて気付くというケースもある。

「不適切投稿」で閉鎖も

直接的に手を下される場合もある。中国系移民でノースカロライナ大学で博士号を取得したリディア・リウは、18年春にウィーチャットで公開アカウント「陌上美国(MoshangUSA)」を開設。「アメリカ生活の実態を全米や世界中の中国系移民に届ける」べく、3年がかりで始めたという。陌上美国はフォロワー数25万人を超え、在米中国系移民1世の社会、文化、政治の話題を扱う場としてはSNS有数の規模となった。

しかし、アメリカ生活に対する肯定的な見方を(民主主義と自由も含めて)奨励すれば、共産党の見解に盾突くことになる。党の見解は中国国内のテレビ、映画、SNS、出版物、地下鉄や建築現場のポスターなどを通じて喧伝され、長い屈辱の末の中国の栄光の復活(と屈辱を招いた欧米列強の終焉)における党の救世主的な役割を強調する。

リウが多くのトピックを自己検閲したにもかかわらず、ウィーチャットは陌上美国をまず2週間、その後さらに6カ月停止。米中貿易戦争や新型コロナ対策などに関して中国寄りでない内容や、移民がアメリカ生活のメリットを語るなど党の言説を傷つける投稿を削除した。数十件が投稿前に不適格とされ、40件余りが投稿後に削除、コメントも検閲された。リウは再三攻撃され、愛国的なユーザーに個人情報をさらされたりもした。

標的になっている中国系アメリカ人のアカウントはほかにもある。共産党は直接または企業に圧力をかけてコンテンツを管理。特定のアカウントの閉鎖、検索結果表示順位の操作、公開アカウント開設資格の制限などを行っている。

世論誘導的な書き込みをする「五毛党」とは