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「圧倒的結果を出し続ける帝王たる羽生くんも、やっぱり結果を見るときはこんなにドキドキしてしまうんだなぁ。人間味溢れる羽生くんも素敵!」(ヒオカ氏談) 『羽生結弦 アマチュア時代 全記録』117頁より ©時事通信

私はこんなに美しい音楽を知らない。

私はこんなにも繊細で複雑な表現を知らない。

どこかノスタルジックで、感傷的で切ない感情が胸をかすめる。胸がきゅーっとなって苦しい。しかし、その切なさのあとに、霧が晴れたように、心が澄み渡り、やわらかい光が差し込んでくる。心にしみ込んでくる、心をふっと優しく包んでくれる、そんな何かに触れた気がした。

彼の演技を見るたび、こんな世の中でも、こんなに素晴らしいものがあるのなら、生きていてよかった、とさえ思えてくる。

間違いなく、彼の演技は多くの人を救っている。

プロに転向した今、彼はますます自由に表現を追求し、多くの人を魅了しているように見える。一般的にアマチュア時代が現役と言われ、その期間がピークと言われる。

でも、そんな常識は、彼はぶち壊す。

いや、軽やかにすり抜けて、彼は彼の世界の常識で生きている、というほうがしっくりくる。彼はどんな枠にも既存の概念にも当てはまらない存在。羽生結弦は、羽生結弦であり、それ以外のなにものでもないのだから。

後日談

この原稿を書いている時、羽生くんのプロ転向後初のアイスショー「プロローグ」の先行抽選結果が来た。

結果は、"もちろん"、全落ち‼

だってプロ転向後初のアイスショーですよ? 一人で最初から最後まで演技するんですよ?そりゃあみんなみたいよね‼‼‼‼ 当選する望みは限りなく薄いであろう。そんなことはわかっていたし、必死に心の準備もした。でも、仕事中に落選メールがきて、しばらく放心状態。仕事が手につかず、上司にもドン引かれるくらいの気の落ちようだった。

実は私、生で羽生くんを見たことがない。映像でもこんなに泣いて、圧倒されるのだから、生で見たら、本当に倒れてしまうかもしれない。

いや、もういっそう、倒れたい。

この目に焼き付けたい