醜い争い

ただ既に候補者同士の対立は泥仕合化し、個人攻撃の様相になりつつある。

メルツ氏は26日ロイターに、執行委員会の次期党首選延期は、CDUの基本原理に背くと語った。独紙ウェルトに対しては、対立候補の一人であるラシェット氏が自身のパフォーマンスを上向かせるための時間を稼ごうとしていることがはっきり分かったと強調した。

メルツ氏の盟友、ミヒャエル・フォン・アベルコン議員もラシェット陣営に厳しい見方をする。現執行部が自分を党首にしたがっていないというメルツ氏の見方をラシェット氏支持者が「陰謀論」だと必死で否定して回っている、と同議員は語り、いかにラシェット陣営が焦っているかが一目瞭然だと切り捨てた。

一方、執行部やラシェット氏は、パンデミックがある以上、12月4日に1001人の代議員をシュツットガルトに集めて党大会を開くのは不適切だと主張している。

世論調査に基づくと、CDU党員の間ではメルツ氏の方がラシェット氏やレットゲン氏よりも人気が高い。しかし党のエリート層、つまり代議員の大方はラシェット氏を応援するというねじれ現象がある。

ドイツ憲法の規定では、党大会自体はオンラインでも開催できるものの、幹部職の選出は対面方式が必要だ。郵便投票も考えられるが、今回は第1回投票で勝者が決まらず2回目の投票にもつれ込む公算が大きいので、かなり時間がかかってしまう。

党幹部の1人は「通常方式の党大会開催は避けられない。他の手段はいずれも難しい」と打ち明けた。

新型コロナの感染状況を見れば、通常方式の党大会ができるのは、来年のかなり進んだ時期になるかもしれない。一方、総選挙は来年10月24日までに行われる。SPDはショルツ財務相を首相候補に指名済みで、大連立を解消したい意向だ。

独週刊紙ツァイトのヨセフ・ヨッフェ編集長は「SPDと異なり、CDUはずっと政権を担っていけると信じており、それによって良質の軍隊のように規律が維持されている」と分析した上で、党首選延期は予測不能な結果をもたらすだろうが、もしドイツの公衆衛生環境と経済成長が立ち直れば、次期首相はCDU/CSU連合から出てくると予想した。

(Andreas Rinke記者 Paul Carrel記者)

[ロイター]
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