しかし調査会社IDCのメディアおよびエンターテインメント部門担当副社長であるカルステン・ワイデは、グーグルの解体は消費者に「より安価な新製品」という恩恵をもたらすと予想する。

「グーグルはあまりにも巨大で、ほかのすべての事業者をぶっ潰してしまう」と彼は本誌に語った。「マイクロソフトは、グーグルと大差はあっても検索部門で2位になるために、何百万ドルもの投資を行っている。競争がさらに激化すれば、もっと多くの企業が力を伸ばすだろう。それは全ての人にとっていいことだ」

たとえば、もしも司法省が訴訟に勝ってクロームが別会社になれば、複数のスタートアップ企業がユーザー向けにより良いプライバシー保護機能の開発で競争し、台頭する可能性もある。あるいはグーグルよりも安い料金を提示する新たな企業が出てくる可能性もあるとウェイドは指摘し、「全体としてみれば、解体は良い効果をもたらすと思う」と語った。

米司法省は、グーグルが競争を阻害する行為によって、検索サービス市場で独占的な地位を保ってきたと主張。広告事業で得た何十億ドルもの資金を携帯電話メーカーやアップルのサファリなどのブラウザ、通信事業者などに支払ってグーグルをデフォルト(標準)の検索エンジンにさせ、競合他社よりも不当に優位な立場を得たと指摘している。

グーグル側は猛反論

司法省は20日に首都ワシントンの連邦地裁に提出した64ページに及ぶ書類の中で、グーグルは長年「排他的な事業契約」によって意図的に「流通経路を断ち、ライバルをブロック」してきたと主張した。

また司法省は、グーグルは各デバイスメーカー(アップル、LG、モトローラやサムスン)、通信事業者(AT&T、Tモバイルやベライゾン)やブラウザ開発事業者(モジラ、オペラやUCWeb)に対して、「毎年数十億ドルを支払い」、自社の検索エンジンが「確実にデフォルト設定される」ようにしてきたとも指摘した。

グーグルのグローバル問題担当上級副社長であるケント・ウォーカーはこれについて、司法省の提訴には「重大な欠陥がある」と反論した。

「利用者は強制されたからでも、代わりの手段が見つからないからでもなく、自ら選んでグーグルを使用している」と彼は声明で述べた。「この訴訟はまったく消費者の助けにはならない。むしろ、より質の低い検索エンジンを促進し、スマホの価格を高騰させ、人々が好みの検索サービスを利用するのを難しくすることになる」

グーグルは多くのデバイスに、デフォルトの検索エンジンとしてプリインストールされているが、ユーザーは簡単な操作で切り換えることができる。ダイアルアップ接続サービスの切り換えを行うために、新しいソフトウェアのCD-ROMを購入してインストールを行わなければならなかった1990年代と今では大違いだ、とケントは指摘した。

また消費者には幅広い選択肢が提示されていて、2019年の全世界のアプリダウンロード数は、過去最高の2040億件に達した。アマゾンやインスタグラム、フェイスブック、スナップチャットやスポティファイをはじめとする多くの人気アプリは、プリインストールされていないとも彼は主張した。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 戦争インフレ
2026年4月28号(4月21日発売)は「戦争インフレ」特集。

ホルムズ海峡封鎖でガソリン・日用品が高騰。世界経済への悪影響と「出口」を読み解く

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます