日本では前者が多いようで、やや古いが2013年の統計を引くと、自殺者が2万6080人、強盗認知件数が3224件となっている。この2つの合算を、危機に遭遇した人の量と仮定すると、その88.7%が自殺していることになる。両者の合算に占める、自殺の割合だ。

この値は国によって大きく異なる。<表1>は、目ぼしい8か国の強盗認知数と自殺者数を対比したものだ。

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日本と韓国は自殺が圧倒的に多いが、他国はその逆だ。アメリカは強盗が34万5100件、自殺が4万1149人で、自殺の割合は10.7%でしかない。ブラジルに至ってはわずか1%だ。裏返すと危機における逸脱行為の99%が強盗で占められている。

スペインも内向度が低い。筆者が以前に明らかにしたところによると、この国では失業と自殺が全く相関していない(拙稿「不要不急の仕事の発想がない日本は、危機に対して脆弱な社会」本サイト、2020年4月8日)。失業率が変動しても自殺率はほぼフラットだが、強盗率とは相関しているかもしれない。

<表1>の内向度を66か国について出し、分布をとると以下のようになる。

▼80%以上 ... 2か国

▼70%台 ... 2か国

▼60%台 ... 2か国

▼50%台 ... 3か国

▼40%台 ... 4か国

▼30%台 ... 5か国

▼20%台 ... 10か国

▼10%台 ... 11か国

▼10%未満 ... 27か国

日本の88.7%は、66か国の中では最も高い。この数値が50%を超える、つまり強盗より自殺が多い国は日本を含めて9あり、韓国、タイ、香港、シンガポールといったアジア諸国が多くなっている。

数としては、内向度が10%未満の国が多い(27か国)。強盗と自殺の内訳図をつくると、ほとんどが強盗で占められる国だ。自分ではなく、他人を攻撃する。先ほど見たブラジルをはじめ、中南米の諸国が名を多く連ねている。

為政者にとって都合がいいのは、社会を混乱させることなく、生活苦の人は自ら消えていってくれる「内向型」の国だろう。日本はその極地で、この国の政治家は、こうした国民性の上にあぐらをかいている。決め台詞は「自己責任」だ。

しかし時代は変わりつつある。これまでは苦境に置かれた人は個々バラバラに分断されていたが、今はSNS等で容易につながれるようになっている。とくに若年層はそうで、困窮した学生への救済を求める運動が、ネット上で盛り上がっている。昨年の「#MeToo」運動もだが、これぞ現代型の社会運動だ。

自分を責める時代はもう終わりだ。選挙権付与年齢が18歳に下がり、高校生の政治活動も条件付きで認められている。合法的なやり方で政治に働きかけ、社会を変えることはできる。早い段階からこのことを教えれば、自殺も強盗も食い止めることはできるはずだ。

<資料:総務省『労働力調査』

    法務省『犯罪白書』

    UNODC:DATAUNODC

    WHO:Mortality Database

【グラフ】70年代以降の日本の自殺率と強盗認知率の推移