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ソウル市内の葬儀所にファンのために設けられたハラの祭壇 CHUNG SUNG-JUN-POOL-REUTERS

スパイカメラを取り締まるために、地方自治体は公共の場所の点検を強化し、盗撮に対する警告を掲示している。国会でも盗撮と画像拡散の厳罰化に向けた法案がいくつか提出されているが、制度を変えるのは簡単ではない。加害者に責任を取らせるために、真剣かつ持続的な取り組みが必要だ。

加害者に責任を取らせることの重要性は、別のK-POPスターの死でも注目されている。今年10月、人気女性アイドルグループf(x)のメンバーだったソルリ(本名チェ・ジンリ)が25歳で亡くなった。やはり自殺とみられている。

自分の恋愛や政治的意見などを率直に語っていたソルリは、ネットでの誹謗中傷の標的になっていた。彼女の死は著名人、特に女性有名人が直面するネットいじめと、社会からの熾烈なプレッシャーに光を当てた。

ネット実名制の議論も

ソルリの死によって、オンラインのヘイト発言に対する規制の必要性も注目されている。国会ではネットいじめを減らすための「ソルリ法」が議論され、オンライン・ハラスメントの厳罰化や、コメントを書き込む際に実名か住民登録番号でのログインを義務付けること、さらにはコメント欄の完全撤廃などが検討されている。

ネット上の書き込みを実名や住民登録番号にひも付ける制度は、ネットの匿名性の欠点を補い、暴力的なコメントを当局が追跡しやすくする。ただしサイバー侮辱罪の導入やネットの実名制に関する法制化をめぐっては、2012年に憲法裁判所が言論の自由を脅かすとして違憲判決を下している。

一方で、韓国第2位のポータルサイトであるダウムは、エンターテインメント関連のニュースのコメント欄を一時的に閉鎖すると発表した。韓国歌手協会は、ポータルサイト最大手のネイバーにも同様の措置を求めている。

3つの悲劇にもう1つ共通する問題は、メンタルヘルスだ。韓国では、心の病で助けを求めると冷ややかな目で見られがちで、精神疾患の医療体制も不十分だ。それでも、メンタルヘルスの問題を告白する著名人は増え続けており、専門的な医療支援の必要性を周知しようという努力も始まっている。

女性アイドルから高校生、プロアスリートまで多くの人の悲劇を通じて、韓国でもここ数年、性暴力的な行為は恥ずべきものであり、他人の権利を侵害する人は適切に処罰されるべきだという認識が広がりつつある。持続的な取り組みの必要性も議論されるようになってきた。

3人の悲劇で高まった関心を、女性を守るために社会と法律を変えるという継続的な圧力につなげるべきだ。

©2019 The Diplomat

<本誌2019年12月24日号掲載>

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