プリンスが生きていたら、この回顧録も、伝統的な型にはまらない独創的な作品になっていたに違いない。それだけに、『ザ・ビューティフル・ワンズ』が凡庸な本になったことは残念でならない。

もちろんパイペンブリングも出版社も、プリンスだったら選ばなかったであろう言葉を勝手に付け加えたりすることなく、手持ちの材料で最善を尽くしたことは見て取れる。

それでも、黒人アーティストであるプリンスの作品を、白人ばかりの出版関係者がまとめ上げたことを知ったら、プリンスはどう思うだろう。

もしかすると「この神殿には盗賊がいる(Thieves in the Temple)」という曲を口ずさんでいるかもしれない。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年11月26日号掲載>

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