火をもって火を制す

テンハリム先住民居住区で発生している火災は、住民以外の人間が引き起こしたものとしては今年初めてだ。実は、すでに先住民自身が意図的に火災を起こしている。

テンハリム部族には、ブラジル環境・再生可能天然資源院(Ibama)のために働く消防団員がいる。彼らは5月から6月にかけ、初めて森の一部に火を放った。近づく乾季の間、火災のリスクを減らすためだ。

部族にとって不可欠な動物や食料を育んでいる場所の周囲を更地にするため、火の勢いをコントロールして火事を起こしたという。「あの作業をやっていなければ、火災ははるかにひどい状況になっていただろう」と、消防団員の1人は記者に語った。だが、炎から守られた面積は限られているという。

現在、約30人の消防団員が森林火災の消火を手伝っているが、活動はもっぱら夜間である。「日中は風が強すぎて無理だ」と、団員の1人は言う。

焼失した森を嘆く歌

ブラジルの7州を貫く全長4000キロのトランス・アマゾニアン・ハイウェイの沿道は、火災の爪痕が今も生々しい。

先住民の人々は、ブラジルの環境保護当局が弱体化したのは右派のボルソナロ大統領の責任だと言う。

野党・社会主義自由党がロイターに見せた政府の内部資料によれば、大統領の就任以来、政府全体の歳出削減の一環として、Ibamaの予算は4分の1がカットされた。

その1つが、森林火災の予防・抑制のための予算だ。データによれば、23%削減されている。

相次ぐ火災に国際的な批判が高まり、ボルソナロ大統領は消火活動に軍を派遣することを認めた。火の勢いは弱まりつつある。

トランス・アマゾニアン・ハイウェイのうち、テンハリム先住民の居住区を通過する区間では、放水する飛行機用の燃料を運ぶ軍用車両やトラックが日常的に見られるようになった。

居住区で暮らす部族の代表者、マルシオ・テンハリム氏は、住民が受けたダメージを世界に知ってほしいと願っている。ひたすら嘆き悲しむしかない、と同氏は言う。

「儀式を行い、森が燃えた悲しみを歌う」

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]
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