地銀経営は正念場

一方、金融庁が力を入れてきた政策の浸透が、進んでいないことも明らかになっている。

金融庁は金融機関による顧客本位の業務運営を確立するため、金融機関に求める原則を取りまとめ、同庁が作った共通指標のもと、金融機関ごとの比較を可能にする政策を推進してきた。

しかし、4月に公表された顧客の意識調査の中間報告では、金融庁が金融機関に顧客本位の業務運営を求めていることを知っていた顧客は、全体の37%にとどまった。

報告書の問題が、遠藤長官が1期目から注力してきた政策の推進にも影を落とす可能性も出てきた。その典型が地銀の経営改善に対するアプローチだ。

金融庁幹部は「2年先すら見通しが立ちにくくなっている」と、日銀のマイナス金利政策の長期化による地銀の収益悪化に危機感を強めている。

遠藤長官は、1期目に地銀の早期警戒制度を改革。今事務年度は業績の将来予想をもとに収益性の悪化が見込まれる地銀をあぶり出し、問題ある地銀の経営陣と対話を強めるようとしている。

就職希望者の減少や人材流出の問題についても、生産性維持の観点から警戒レベルを上げて注視してきた。

だが、6月末までに公表されるとみられていた地域経済の活性化や融資実務に関する文書は、公表が遅れている。

遠藤長官の2期目は「行政の停滞」というマイナス地点からのスタートを強いられる。強力な手腕で知られる長官の実力が試されるのはこれからだ。

和田崇彦 編集:田巻一彦

[東京 2日 ロイター]
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