Sophie Yu Eduardo Baptista

[北京 3日 ロイター] - 中国の大型通販セール「独身の日」に2026年、新たな目玉商品が登場した。長年の定番だった化粧品や家電に加わったのは、人工知能(AI)ツールで使う計算処理の利用枠だ。

元々は毎年11月11日に開催されていた世界最大の通販セールで、AIの入出力処理量を示すトークンのパッケージが主要な消費者向け商品カテゴリーとして販売されるのは初めてとなる。

人気ライブ配信者のオースティン・リー氏は2日、「淘宝網(タオバオ)」での配信を通じ、アリババ の業務用AIサービス「QwenWork(クウ‌ェンワーク)」の月額会員プラン10万件を30分足らずで販売した。

販売分はAIトークン約2兆個に相当する。

テクノロジー調査会社オムディアのチーフアナリスト、リアン・ジェ・スー氏は「中国の消費者は今や、生産性向上のためのAIツールを使うことにかなり慣れている」と述べ、利用頻度の高い人は利用枠が不足することがあるため、セール期間中にまとめて購入するのは「非常に合理的な行動」だと説明した。

ただ、トークンのプランが通常価格からどの程度割り引かれていたかは不明だ。

<「口紅王子」、AI商品を初販売>

リー氏がAI商品を販売するのは今回のライブ配信が初めて。同氏はインターネット上で大量の口紅を売り、膨大な数のフォロワーを獲得したことで「口紅王子」の異名で知られる。

配信ではクウ‌ェンワークのトークンプランのほか、AI搭載ノートパソコンや業務用機器を紹介。アリババグループ副社長で同サービスの最高経営責任者(CEO)を務めるチェン・ユーセン氏も出演した。

リー氏はチェン氏に、AIで自分のデジタル分身を作り、24時間いつでもファンと会話させることができるかと尋ねた。

チェン氏は、AIがリー氏の代わりになることはできないとしつつ、AIが利用者の日常的な作業を引き受け、家族と過ごす時間を生み出せればと期待を示した。

アリババによると、同社の通販サイト「天猫(Tmall)」は今回のセールに合わせて「AIトークンセンター」を開設。アリババクラウド、ミニマックス(稀宇科技)、ムーンショットAI(月之暗面)、Z.AIの消費者向けトークンパッケージを販売している。

京東集団(JDドット・コム)もAIトークンの専用コーナーを設け、ディープシーク、Z.AI、バイトダンス傘下のボルケーノ・エンジンなどの関連サービスを販売した。

アリババによると、10月1日─20日のAIトークンプランの売上高は前月比450%増加した。また、セールの決済開始後、最初の1時間で、AI搭載ノートパソコンの売上高は前年同期比で300%超増加した。

前出のスー氏は、トークンの有効期間が比較的長いことがまとめ買いを促す可能性があると述べる一方、AI商品は変化が速く、別のサービスに取って代わられたり、提供が終了したりするリスクがあるため、消費者は前払いに慎重になる可能性があると指摘した。

独身の日のセールは2009年から開催されている。データ提供会社の星図データ(Syntun)によると、25年の各プラットフォームの売上高は合計1兆7000億元(約40兆3410億円)だった。

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