[北京 29日 ロイター] - 中国共産党が今週開いた重要会議、第20期中央委員会第5回総会(5中総会)で、過去最多となる高級幹部の党籍剥奪が正式決定された。また欠席率は毛沢東時代以来の高さで、大規模な粛清によって指導部人事に大きな空白が生じている実態が浮き彫りとなった。
5中総会では、2027年後半に北京で第21回党大会を開催することも決定した。習近平国家主席がさらに5年、4期目の続投を図るとみられる次期指導部人事に向けた準備が本格的に始まった形だ。
総会は元政治局委員の馬興瑞、張又侠両氏を含む33人の党籍剥奪を正式承認した。現任政治局委員の失脚者は今任期で3人となり、1980年以来最多となった。
軍最高指導機関である中央軍事委員会では、22年に選任された7人のうち5人が粛清され、現職にとどまるのは習氏と規律監督を担当する張昇民副主席のみ。張氏は今回、異例にも政治局委員に昇格した。軍事委副主席が政治局入りする例はあるが、中間期の総会で新たな政治局委員が加わるのは1994年以来となる。
習氏は12年の政権発足直後から「腐敗が放置されれば党と国家の崩壊につながる」と指導部に警告し、大規模な反腐敗・規律強化運動を開始。数百万人が調査対象となり、かつての側近や「聖域」とみなされた高官を含む数百人の幹部が失脚した。
こうした反腐敗運動は開始から10年余りが経過したが、終息の兆しはみられない。党は総会で、新たな問題や重大な課題に直面しているとして、腐敗との厳しい長期戦を継続する方針を改めて打ち出した。
5中総会コミュニケは、習氏への権力集中によって党は長年放置されてきた不正行為や制度上の問題を是正し、党・国家・軍内部の重大リスクを排除するとともに、党規律の弛緩を食い止めたとした。
国営通信新華社が配信した会議概要によると、出席した中央委員・候補委員は計279人で、2022年に選出された当初の376人から大幅に減少した。当初メンバーの25.8%に当たる97人が欠席し、その多くが粛清の対象になったとみられる。
一方、党は会議で自らの組織がかつてなく強固になったと強調し「マルクス主義政党建設の歴史に永遠に刻まれる成果」を挙げたと評価した。
中国共産党は外部からの権力監視が限定的なため、巨大な権限を行使する官僚組織を統制する手段として、運動方式の規律強化キャンペーンに依存する実態も浮かび上がってくる。
習氏はこうした「自己浄化」運動こそが党の腐敗と衰退を防ぎ、長期的な支配を維持するための唯一の手段だと位置付ける。継続的な規律強化と「自己革命」によって、中国王朝に繰り返された興亡のサイクルを回避できるとの考えを示している。
ロンドン大学キングス・カレッジのケリー・ブラウン中国研究所長は「党が国内外に発している主要メッセージは『団結』だ。米国では中間選挙後も分断や対立が続く可能性が高い。習近平指導部は『われわれは団結し、規律を守り、米国とは違う』と訴えたいのだろう」と解説した。
習氏の役割見直しを予想する見方も一部にあるが、多くの専門家は来年秋の党大会で同氏がさらに5年間トップの座を維持するとみている。国営メディアも権力基盤の弱体化を示す兆候は伝えていない。
人民日報や新華社は最近の論評で、党と国家に対して「習氏を核心とする党中央の下で一層緊密に団結する」よう呼び掛けた。このような論調は、習氏への権力集中こそが政治的安定と政策の継続性、さらには中国の「民族復興」を実現する最も重要な保証だと位置付けている。
ブラウン氏は「党は明らかに世代交代期に入っている」と分析しつつ「最大の課題として未知数なのは、習氏周辺の古参指導者たちが若い世代にどこまで権限を委ねる意思と能力を持つかだ」と付け加えた。
英シンクタンク、トニー・ブレア研究所のルビー・オスマン上級顧問は「習氏は短期的な混乱を許容し、党の長期的な強靱性を高めるための投資とみなしているようだ」と指摘した。
米アメリカン大学の中国政治専門家ジョセフ・トリジアン氏は「習氏自身も完全にはなくならないと認めている問題に対処し続ける必要がある。人々は常に資本主義的価値観の誘惑にさらされる。そのため党の使命感や情熱の重要性を繰り返し説く必要がある」と述べた。