フランスで続く大規模デモが暴動の様相を呈している。

10月17日、国内各地で行われた抗議活動の参加者は推計55万~80万人に達した。内務省によれば、この日、警官隊員997人が負傷。デモ参加者にも数多くの負傷者が出た。

一方、抗議活動に関連して約2400人が拘束された。歴史的建造物である中部リモージュの市庁舎など、公共施設が破壊され、少人数の若者グループによる略奪も起きた。

大規模デモのきっかけは、パリ郊外のクレテイユで9月中旬、校舎の老朽化や教員不足に抗議する高校生が行った学校封鎖だ。多くの教師も、劣悪な教育環境を懸念している(教員の給与水準は警察官などと比べて相対的に低い)。

それでも、抗議活動がたちまち国内各地の約700校に飛び火する事態は誰も予想していなかった。はっきりとした指導者も声明文も見当たらないまま、急速に拡散するデモの衝撃は社会に広がった。

思い起こすべきは、1968年5月にパリを中心に始まった反体制運動だ。旧態依然とした教育制度に反発する大学生が主役だったが、保守政治や社会階層に縛られ、機会が制限された「閉塞社会」への抵抗という側面もあった。

問題はフランスの高校だけではない

当時と同様の感情が、フランスの高校生の間で広がっているのは明らかだ。AIの台頭や気候変動、国際紛争のせいで、将来の可能性が狭まっていると、彼らは感じている。

抗議活動は最近、スペインやベルギーでも広がっている。つまり、問題はフランスの高校だけではないということだ。

西側諸国では、特に2020年以降、コロナ禍での制限や生活費の上昇、住宅危機の影響に直撃された人々の不満が顕著になっている。そこに追い打ちをかけるのが、中東やウクライナでの戦争で悪化するエネルギー危機だ。

重要なのは、デモ参加者や支援者と、覆面姿で暴れる集団を区別することだ。略奪し、放火し、警官を襲撃するのはカッサー(壊し屋)と呼ばれる一部の若者にすぎない。

フランスでは近年、「黄色いベスト運動」といった抗議活動のたびに、その周縁で暴力的対立や器物損壊が発生している。これらは意図的な反社会的行為であり、数世紀にわたるフランスの集団的抗議の伝統に属するものではない。

今回のデモの行方は不透明だ。68年当時と同じく、破壊行為への怒りが抗議する若者への反感に変わり、学生側と労働組合の分断が起きるかもしれない。抗議の波が欧州で広がり続ける可能性もある。

メランションの「不服従のフランス」には大打撃

確かなのは、来年4月に予定されるフランス大統領選を左右する要素になったことだ。

有力候補である極右政党・国民連合(RN)の実質的指導者マリーヌ・ルペンをはじめ、右派政治家にとって、現状はいわば「棚ぼた」だ。学校に規律を取り戻し、警察予算を増額し、カッサーは不法移民だと決め付け、国外追放の対象にすると息巻いている。

対照的に、抗議デモを強く支持している急進左派政党「不服従のフランス」と、同党を率いるジャンリュック・メランションは、壊滅的な打撃を被ることになりかねない。

いずれにしても、マクロン大統領は追い込まれている。生徒や学生の正当な要求に応え、深い怒りを抱く社会の緊張を解消することが先決だ。

The Conversation

Peter McPhee, Emeritus professor, History, The University of Melbourne

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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