※海外に住む日本人は約130万人。それぞれが異なる事情を抱え、日本では起こり得ないようなことも経験しながら、日常を生きている。連載「在外日本人リアルライフ」では、彼らのストーリーと、そこから垣間見えるその国のリアルな姿をお届けします。

大好きなボサノヴァを求め、30歳で単身ブラジルへ渡り、名門音楽院を出て主にサックス奏者として音楽活動を続けてきた島田愛加さん。実は、元自衛官である。

なぜ自衛隊に入隊し、そして辞めたのか。そして外国人でありながらブラジルの音楽院でボサノヴァを学んだ彼女は、その後、音楽で生計を立てることができたのか。現地で教育を受け、生活するなかで見えてきた、両国の違いとは何か。

島田さんが、地球の裏側まで追いかけるほどに魅せられたボサノヴァと出会ったのは小学校高学年の頃だ。ピアノ教室のアンサンブルで、ドラム担当として渡された曲が、アントニオ・カルロス・ジョビン作「イパネマの娘(Garota de Ipanema)」だった。

The Girl from Ipanemaという英題がついており、「アメリカの曲だと思っていた」が、それが地球の反対側、ブラジルの音楽「ボサノヴァ」だった。

「心地よいリズムに体が揺れたんです」と島田さんは当時を振り返る。心を掴まれたあの瞬間を、今でも鮮明に覚えている。

運動音痴なのに自衛隊に入隊――辞めた理由は

1984年東京生まれ、茨城県育ちの島田さんは、5歳からピアノを習い始め、中学の吹奏楽部でサックスを始めた。高校は全国大会で賞を獲る吹奏楽の強豪校に通い、2007年に武蔵野音楽大学を卒業。どっぷり音楽に浸かった学生時代だった。

音楽を仕事にしたいという思いと就職へのプレッシャーから、自衛隊の音楽隊に入隊した。高い演奏技術を求められる狭き門だ。

だが、音楽隊員も通常の訓練を受けることは分かって入ったものの、「昔からとにかく運動が苦手」という島田さんにとって訓練はキツく、任期満了前に除隊した。

しかし、除隊の一番の理由は別にあった。

自衛隊除隊の一番の理由
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