Utkarsh Shetti
[22日 ロイター] - 米大手投資会社ブラックストーンのジョン・グレイ社長兼最高執行責任者(COO)は22日、特定の資産に関連する人工知能(AI)関連債務の信用スプレッド拡大について、より高いリターンを確保する機会となる可能性があるとの見方を示した。
借り入れコストの急上昇やAIへの巨額投資の長期的な持続可能性を巡る疑念の高まりを背景に、投資家は、多額の借り入れに依存するAIブームへの資金投入に、より高いプレミアムを求めている。
グレイ氏は信用スプレッドの拡大についてアナリストから質問され、「まだ賃貸契約を結んでいない新規資産では、この影響を吸収するため、より高い利回りを求められるようになると思う」と指摘。「結果的に、むしろ有利な状況になるかもしれない」と述べた。
ブラックストーンはAIを投資テーマとして積極的に取り入れ、同業界への主要な資金供給元の一つとなっている。大規模なAIインフラ整備を支える設備やサービスなどの関連事業に多額の資金を投じている。
同社が22日発表した第3・四半期決算は減益となったものの、市場予想を上回った。市場の混乱が続く中でも、手数料収入を生む事業への堅調な資金流入が寄与した。
分配可能利益(株主に還元可能な利益)は1株当たり1.32ドルと13%減少。LSEGがまとめたアナリスト予想の平均は1.26ドルだった。
案件成立の減速が投資回収の重荷となった一方、堅調な資金流入で運用資産残高は1兆3700億ドルに拡大し、手数料関連利益は6%増加した。
同社幹部は決算発表後のアナリスト向け電話会議で、市場の不安定さが案件の実行に影響しているものの、第4・四半期の投資回収に伴う収益は「大幅に」増加する見通しだと述べた。
世界の市場は、債券利回りの急上昇や高金利の長期化観測、イラン戦争に伴う相場変動の拡大で動揺している。
この結果、多くの案件が保留となり、2026年上半期の取引や新規株式公開(IPO)は減速した。LSEGのデータによると、第3・四半期の世界のM&A(合併・買収)は前四半期比41%減少した。
ブラックストーンの投資回収に伴う収益は34%減の約3億3200万ドルとなった。プライベートエクイティ(PE)事業で50%近く減少したことが響いた。
新規の資金流入はクレジット・保険事業が約360億ドルと最大で、PE事業が126億ドルで続いた。
PEファンドの運用による手数料関連利益は26%増の6億1900万ドルとなった。
オルタナティブ資産運用各社の株価は26年に入り下落している。今後の成長鈍化の見通しや、人工知能(AI)の進歩が投資先企業の事業に混乱をもたらす可能性に対し、投資家が慎重姿勢を強めたためだ。
特にプライベートクレジットに対する投資家の不安は強く、大手運用各社はここ数四半期にわたり解約請求の急増を報告している。
ブラックストーンは9月、同社のファンド「BCRED」への解約請求が第3・四半期も高水準にとどまったと明らかにした。ただ、投資先のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き健全だとの見解を維持している。
同社株は21日引け時点で年初来30%近く急落し、他の資産運用会社とおおむね同様の値動きとなっている。一方、市場全体は13%、S&P500金融株指数は約2%上昇している。