Michael Erman Julie Steenhuysen
[22日 ロイター] - 米バイオ医薬品企業のモデルナと米製薬大手メルク は22日、両社が共同開発するメッセンジャーRNA(mRNA)がんワクチンを、免疫療法薬「キイトルーダ」と併用した第3相臨床試験(フェーズ3)で、悪性黒色腫(メラノーマ)の再発または死亡リスクを42%低減したと発表した。患者に合わせて設計したがんワクチンの実用化に向けた重要な成果となる可能性がある。
1100人超の患者を対象とした試験では、がんの転移リスクも38%低下した。
今回の結果は、患者ごとの腫瘍に特有の遺伝子変異に基づくワクチンと、免疫機能を高めるがん治療薬の併用により、がんの進行を抑制できることを示した初の大規模データとなる。「インティスメラン・オートジェーン」と呼ばれるワクチンが、メルクの主力製品である免疫療法薬「キイトルーダ」と組み合わせて試験され、2年後の無再発生存率は、ワクチンとキイトルーダの併用群が82.2%だったのに対し、キイトルーダ単独群は70.0%だった。詳細な試験結果は、治療開始後2年間の患者データに基づくもので、スペイン・マドリードで開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で24日に発表される予定。
キイトルーダは、がん細胞が免疫系の攻撃を回避する仕組みを解除する薬剤。一方インティスメラン・オートジェーンは患者の細胞に特定の腫瘍変異のコピーを作らせ、免疫系が標的として認識し攻撃できるようにする。
モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は「腫瘍に特異的な新たなT細胞を作り出す能力により、臨床上の効果は非常に大きい」と述べた。
両社は米国での承認申請に向けた準備を進めており、バンセル氏は2027年中の製品発売を見込んでいると明らかにした。
インティスメラン・オートジェーンとキイトルーダの併用療法は、腎がん、膀胱がん、肺がんなど複数のがん種でも試験が進められている。バンセル氏は「キイトルーダが効果を示すあらゆる領域で有効性の上乗せが期待できる」との見方を示した。一方で改善効果の大きさについては、今後の検証が必要としている。
またバンセル氏は、インティスメラン・オートジェーンが早期がんにおいて単独治療として有効となる可能性もあると述べた。
今回の試験結果について米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの試験責任医師フセイン・タウビ氏は「極めて高い統計学的有意差があり、偶然による結果ではない」と評価した。
一方RBCのアナリスト、トラン・フイン氏は「(インディスメランが)がん治療薬で数十億ドル規模の大型製品に成長するとの楽観論は後退しつつある。メラノーマはこの治療法が最も高い効果を示すと期待されていた適応症だったので、今回のデータで(ほかのがんへの応用拡大に関して)以前ほど強気になれなくなっている」と指摘した。
モデルナの株価は、同社が8月にこの試験が成功したと表明して以来高騰していたが、この日に結果内容が事前に漏れた後で急落し、終値で17%超安となった。メルクの株価も約1.8%下落して取引を終えた。