[マドリード 8日 ロイター] - スペインの首都マドリード中心部で8日、長年暮らしていた住宅を強制退去させられ、7日に死去した87歳の女性を悼み、数千人がデモ行進を行った。
マリカルメン・アバスカルさんは、70年余り暮らした自宅から担架で運び出された。これを受けて住宅高騰を巡る市民の不満が噴出し抗議活動が全国に拡大。サンチェス首相は、政権が策定した立ち退き抑制や家賃上昇対策を盛り込んだ政令が議会で否決されたため、議会を解散し11月29日に総選挙を実施すると表明した。
アバスカル氏は9月下旬の強制立ち退き後、重度の不安と極度の疲労により入院していたが7日に死去した。死因は公表されていない。
8日、オレンジ色のベストを着用し腕を組んだ借家人組合のメンバーらが先頭に立ち、数千人の参加者が「これは死ではない、殺人だ」と訴えつつ、アバスカル氏の旧居まで行進した。
スペインではここ数カ月、立ち退き命令を受けた人の自殺が相次いでいる。
政界では、責任のなすり付け合いが繰り広げられた。中道左派勢力は8日、家賃高騰の抑制を目指す法案に反対した保守派を批判。これに対し保守派は中道左派の連立政権が8年間の政権運営を経ても住宅危機に対処できていないと反論した。
マドリード州議会では、アバスカル氏への追悼を巡って紛糾。州議会およびマドリード市議会で絶対過半数を握る保守系最大野党・国民党(PP) は、同氏への黙とうを拒否した。極左の議員らは市庁舎の外で黙とうを捧げた。
公的世論調査機関CISが8日に公表した6月調査によると、スペイン国民の76.3%が住宅アクセスの確保に向けた市場介入を支持し、79%が住宅を市場の商品として扱うことよりも住居への権利が優先されるべきだと回答した。