[8日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏率いるスペースXは8日、全米をカバーする低周波数帯の利用権を取得する契約を結んだ。衛星を通じて米国の既存の携帯通信大手に直接対抗する態勢を整える。

同社の衛星通信サービス「スターリンク・モバイル」が既に保有する世界規模の2ギガヘルツ帯の中周波数帯は大容量通信を担い、新たに取得する周波数帯は障害物を透過する通信を可能にする。契約の金銭的条件は公表されていない。

低周波数帯は電波が遠くまで届き、壁や生い茂った樹木などの障害物を透過しやすい点が評価されている。衛星を使った携帯通信網がこれまで直面してきた大きな技術的課題の解消につながる。

スペースXは全米の低周波数帯と、高周波の宇宙通信容量を組み合わせることで、従来の携帯基地局に全く依存せず、広い通信範囲と屋内での接続の信頼性の両面で、寡占状態にある携帯通信業界に挑む態勢を整える。

今回の契約により、既存の携帯通信会社は一段と厳しい競争に直面する。衛星と端末の直接通信が、遠隔地の圏外で安全を確保するための補助的な機能から、地上の携帯通信網に取って代わり得る本格的な商用サービスへと変わることになるからだ。

TモバイルUS、ベライゾン、AT&Tの株価は時間外取引で6.5%超下落した。

スペースXはプライベートエクイティ(PE)企業グレイン・マネジメントが保有する全米の800メガヘルツ帯の利用権を全て取得する。取引には米連邦通信委員会(FCC)の承認が必要となる。グレインは今年に入り、この周波数帯をTモバイルから取得していた。

重要なのは、既存の携帯端末の大半が改造なしで800メガヘルツ帯に対応しており、消費者が専用の衛星電話を購入する必要がない点だ。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。