使用済み紙おむつを、燃やさず資源に還す
DENAGREENには、もう一つ独特の性質がある。吸水したゲルに特殊な薬剤をかけると、水に溶ける「易解体性」だ。この性質を生かせば、使用済み紙おむつを洗浄し、廃棄物としての重量を大幅に減らしながら、繊維分と吸水材を分離・回収して再利用することが可能になる。ナガセケムテックスが目指す「資源循環型システム」の構想はここにある。2026年3月には、高知県梼原町の介護施設で、使用済み紙おむつの洗浄性や現場の作業負担を確かめる実証実験がスタートした。
新たな吸水材の用途は、衛生用品だけにとどまらない。
畑の乾燥に備え、水を蓄えるための「保水材」という土壌改良材がある。しかし、従来の吸水材では水を抱え込みすぎて、作物が水分をうまく使えないという難点があった。その点、DENAGREENならば蓄えた水をゆっくり手放し、役目を終えれば土に還っていく。
中東情勢を背景に、石油化学の基礎原料であるナフサの供給不安はいまも続いている。石油由来素材の調達が揺らぐなか、DENAGREENは代替素材として思わぬ注目を集めた。環境のために始まった開発が、資源リスクへの備えとして発揮された結果だ。海外からのニーズも高まっているという。
もともと高吸水性ポリマーは、1970年代の米国で、トウモロコシのデンプンを土台に誕生したものだ。やがて主流の座は石油由来に移ったが、半世紀を経て、再びデンプンへ還る道が開かれようとしている。
紙おむつを「使って、燃やして、捨てる」のではなく、使い終えた後も資源として循環させる。DENAGREENの取り組みは、新素材の開発にとどまらず、製品のライフサイクルそのものを変える挑戦でもある。
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復刻版の創刊号特集で読む日本の「これまで」と「これから」