日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。

2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。

先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。

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企業間連携で生まれた、デンプン由来の吸水材

日本で1年間に捨てられる「紙おむつ」は、約235万トン。実は、その約7割が大人用だ。紙おむつは水分が多いため燃えにくく、焼却に多くの燃料を要する。高齢化が進む中、2050年には、一般廃棄物に占める割合が13%にも達すると推計されている。

この構図を変えようとしているのが、NAGASEグループの中核メーカー、ナガセケムテックス株式会社(大阪市西区)である。同社は、「吸水性」と「易解体性」を両立させる新たな吸水材「DENAGREEN(デナグリーン)」を、デンプンを主原料に開発した。

DENAGREENの出発点は2018年に遡る。NAGASEグループとして社会課題への貢献のあり方が議論される中で、林原(現ナガセヴィータ)の「高分子デキストリン」をつくる技術と、ナガセケムテックスの化学変性技術とのシナジーに目が向けられた。当初は、水の濁りを固めて沈める凝集剤などが想定されていたが、改良を重ねるうち、吸水材としての可能性が見えてきた。

2020年には、長瀬産業・ナガセケムテックス・林原の3社で、この吸水材の共同開発契約を締結。研究から開発・製造、販売までを担う一気通貫の体制を確立した。

「環境への配慮と、確かな吸水力を両立させたい。その想いで、グループの力を結集しました」と、ナガセケムテックス 機能材料事業部 製品開発第一部 グリーンマテリアル課の六人部壮氏は語る。

従来、植物由来の吸水材には、吸水量と量産性に壁があった。しかし開発チームは、酵素でデンプンの構造を変え、さらに化学処理で分子同士を網の目のようにつなぐことで、この壁を突破。2023年2月に開発成功を発表した。

同社によると、DENAGREENは自重の数百倍の水を吸い、約半年で7割以上が微生物の力で自然に還る。さらに海中でも分解が進むタイプを開発し、海水中で180日間に90%以上が分解することが、第三者機関の試験によって確かめられた。現在は、国内サニタリーブランドの軽度尿ケア用パッドに、吸水材として採用されている。

「天然由来の素材で衛生用品をつくるお客様は、石油由来の吸水材を使えず、吸水性にはやむをえず目をつむってこられました。しかし、DENAGREENによって、『吸水性を我慢しなくて良くなった』と言われたことが強く印象に残っています」(六人部氏)

使用済み紙おむつを回収・洗浄し、パルプなどを再利用するリサイクルスキーム。単なる素材販売にとどまらず、資源循環型社会を見据えたシステムの構築を目指す

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使用済み紙おむつを、燃やさず資源に還す
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