日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。

2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。

先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。

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「使われていない資源」に価値を見出す

世界は本当に「資源不足」なのだろうか。人口増加などを背景に食料やエネルギーの供給不安への懸念が高まる一方で、私たちの身の回りには、なお価値を残したまま廃棄されている資源もある。

その1つが植物だ。静岡大学発のスタートアップ企業であるS-Bridges株式会社が着目したのは、植物に含まれる有用成分を取り出し、余すことなく使い切ること。これまで低付加価値素材として扱われてきた植物資源を、食品、農業、エネルギー、素材など複数の事業価値へ変換する「Use-It-All(全てを使い切る)」という発想だ。

2022年の設立以来、同社は独自酵素や抽出・分離技術を用いる「Use-It-All Technology」によってそれを実現しようとしている。その中核を担うのが、植物成分を最適な形で全抽出する「CELL BREAKER」システム(*)だ。

Use-It-All Technology
「Use-It-All Technology」は植物資源を余すことなく活用し、食品・素材・農業・エネルギー分野などさまざまな分野における価値へと転換する独自技術だ

実践例の1つに、静岡の茶葉を起点とした地域循環経済の取り組みがある。実は、飲料などに使われる茶葉の割合は約20%(同社調べ)にとどまっているという。同社は未利用部分から高タンパク質パウダー、液肥、繊維などを分離・抽出し、それらを余すことなく価値化して新たな事業を創出しようとしている。

例えば、高タンパク質パウダーは、同社が本社を置く浜松市の老舗洋菓子店で焼き菓子に使用されている。また、茶葉から取り出した繊維はバイオエタノールの原料となり、植物由来の再生可能燃料へと活用される見込みだ。この取り組みはコスモエネルギーホールディングス株式会社と進めており、エタノール製造プロセスの効率化が期待されている。

農業分野でも、一方の作物の葉・茎などの未利用資源からCELL BREAKERシステムによって有用成分を分離・抽出し、もう一方の作物の肥料やバイオスティミュラント、素材原料などとして活用する取り組みが検討されている。

このように、既存の資源を他の分野における価値へ転換することで、環境配慮の取り組みをCSRや広報活動の延長としてではなく、収益性を伴う経済活動として継続させることを目指している。

「もったいない」が出発点の循環モデル