Friederike Heine

[ベルリン 6日 ロイター] - ドイツ検察当局は6日、同国の対外情報機関、連邦情報局(BND)長官を務めたアウグスト・ハニング容疑者を国家反逆未遂の疑いで逮捕した。対外情報機関の元トップが逮捕されるのは異例で、冷戦終結以降、ドイツで最大級の情報機関スキャンダルとなる。

検察によると、ハニング容疑者は対価を支払って機密文書を入手し、外国情報機関向けの分析に利用した疑いが持たれている。どの外国情報機関かは特定されておらず、分析が実際に相手の手に渡ったかどうかも現時点では不明だ。

検察は声明で「ハニング氏には、国家反逆に当たる諜報活動、国家機密の入手、国家反逆未遂、スパイ活動が強く疑われている」と表明した。

独誌シュピーゲルは、当局がアゼルバイジャンとの関連の可能性を調べているとし、ハニング容疑者が同国の工作員と接触していたと伝えた。

ハニング容疑者は2005年まで7年間にわたりBND長官を務め、退任後の10年になってBND長官室の元責任者から報酬と引き換えに機密情報の提供を受ける合意をしたという。この元責任者も逮捕された。

この人物は今年3月まで、長官室の責任者を務めていた。文書持ち出しが行われていたとされる時期に、ドイツの最新機密情報の一部にアクセスできた可能性があり、長年にわたって約2000件の文書を提供した疑いが持たれている。中には、BND内部での利用のみを目的とした機密資料や、首相府の高官向け情報報告も含まれていた。

南ドイツ新聞によると、こうした情報にはイランの核開発計画やロシア軍に関する文書のほか、他の同盟国の情報機関が秘密指定した極めて機密性の高い資料もあったという。

検察によると、ハニング氏は元責任者から提供された機密情報を使い、外国情報機関の職員向けに分析を作成したほか、同機関の関係者に長年、政治情報を提供していた。

南ドイツ新聞は、この事件にロシアは関係していないと伝えている。

安全保障に詳しい保守派のローデリヒ・キーゼベッター議員は6日、独紙ハンデルスブラットに対し、この事件が情報協力を行う同盟国との関係を悪化させる可能性があると指摘。この種のスパイ事件は「信頼関係にとりわけ重い負担となり、ドイツに特に大きな損害を与える」と述べた。

BNDのマルティン・イェーガー長官は、直ちに大規模な内部調査に着手したと表明した。

ドイツでは過去にも重大スパイ事件が起きており、1974年には西ドイツ(当時)のブラント首相の側近として約2年間働いていた人物が東ドイツのスパイだったことが発覚し、同首相は辞任に追い込まれた。また90年にも、西ドイツの防諜機関幹部クラウス・クーロン氏が東ドイツ国家保安省のスパイだったことが判明し、後に国家反逆罪で有罪判決を受けた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。