Timour Azhari Mubasher Bukhari
[リヤド 2日 ロイター] - サウジアラビアがイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する攻勢を計画していることが、地域当局者や欧米当局者への取材で分かった。紅海の海上輸送路の確保に向け沿岸部で攻勢をかける案のほか、複数の戦線で同時攻撃を仕掛ける案が検討されており、早ければ1週間以内に開始する可能性があるという。
サウジの主要な目的の一つは、フーシ派が9月にバベルマンデブ海峡など紅海沿岸で急速に拡大した支配地域を奪還することだ。湾岸諸国とイエメンの当局者によると、検討されている攻撃案は2つ。一つはバベルマンデブ周辺に対象を絞った攻撃。もう一つは、バイダ、マーリブ、タイズ、ジャウフの各県でも複数の戦線で同時攻撃を行う、より広範な攻勢だ。サウジが後ろ盾になるイエメン暫定政府側部隊が地上作戦を担い、サウジ軍が空爆を行いこれを支援する。作戦の規模によっては10万人を超えるイエメン兵が動員される可能性があるという。
サウジの準備状況を知る6人は、攻撃開始の正確な時期を示すことはできなかった。予想は1週間以内から11月上旬の米中間選挙後まで幅があった。
<メッカ協定締結国が協力、米は後方支援>
西側外交官の1人によると、米国は、イエメンでのサウジの航空作戦を支援するため、軍事顧問を派遣し、標的に関する情報などを提供している。
ただ、支援の範囲は限られる可能性がある。サウジの事実上の統治者であるムハンマド皇太子が空爆などの直接的な軍事支援を求めたものの、トランプ米大統領は拒否したとされる。
こうした中、サウジに軍事装備を提供しているのが、9月に共同防衛協定(メッカ協定)を結んだトルコとパキスタンだ。
パキスタンや湾岸諸国の当局者によると、パキスタンは9月に、防空システム、軽火砲、ドローン、対ドローンシステムなどを積んだ貨物機4機を、サウジが支援するイエメン政府の拠点アデンに派遣した。パキスタンの軍事顧問も現地でサウジの軍事顧問と共にイエメン部隊を支援しているという。
サウジは、今回の戦争前に購入したトルコ製ドローンも、イエメン上空に投入されている。
<サウジの不安>
イエメンで新たな攻勢に踏み切る上でのサウジの懸念の一つは、フーシ派のドローンやミサイルによる攻撃から石油施設などのインフラをどう守るかだ。サウジ政府は複数の同盟国に防衛システムの支援を求めているという。
また、地上作戦は、イエメン暫定政府側の部隊に頼ることになるが、この部隊は、内戦の初期段階にサウジとアラブ首長国連邦(UAE)が武器を供与し、訓練した多様なイエメン武装勢力の寄り合い所帯で結束に多大な不安がある。昨年末から今年初めにかけ、連合の一角をなす、UAEが支援する南部暫定評議会(STC)が、東部で支配地域を広げようとし、分離独立の計画も打ち出した。STCはサウジが支援する部隊との一連の衝突の末に敗れ、イエメン側の部隊はさらに分裂した。この過程で、サウジとUAEの関係も悪化した。
イエメン問題のアナリスト、モハメド・アルバシャ氏は、イエメン側の部隊は組織化されておらず、規律あるフーシ派の攻勢を押し返すために必要な持続力に欠けると指摘し、「フーシ派が複数戦線で同時に圧力をかけてくる中、彼らは今まさに試されている」と述べた。